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更新日:2013年8月1日

鎌倉市長谷子ども会館(旧諸戸邸)

第12号/平成7年1月1日指定

長谷子ども会館写真 長谷子ども会館イラスト

この建物は、明治41年に福島浪蔵氏邸として建てられ、大正10年に諸戸清六氏の所有となり、昭和55年に鎌倉市に寄贈されました。 外観は、バルコニーの柱にギリシア建築の様式を取り入れ、メダリオン飾りが付けられており、ドア枠と窓枠には手の込んだ装飾が施されるなど、きわめて華麗です。また、内部も古典的な雰囲気が感じられます。

この建物は、明治期の住宅建築の貴重な遺構であり、造形意匠の密度においては、鎌倉のみならず、県内でも最高のものといえます。

 

所在地:長谷一丁目

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構造規模:

  • 木造2階建、洋風トラス小屋組
  • 延べ床面積/118.86平方メートル
  • 屋根/天然スレート鱗形葺き寄棟、一部亜鉛引鉄板葺き、桟瓦葺き
  • 外壁/砂漆喰塗り大壁、一部南京下見板張り

子ども会館として使用されています。

建物の沿革

長谷子ども会館は、横浜・戸塚出身の株仲買人、福島浪蔵の別邸として明治41年に建築された。

創建当時は、現存の洋館の北側及び東北側に和風棟も建てられ、 広大な敷地には庭園が設けられていたと考えられる。

大正10年に三重県桑名出身の富豪、二代目諸戸清六別邸となったが 大きな改造はなかったものと考えられる。

関東大震災にも建物は健在で、震災時の救療本部としても用いられていた。

昭和11年に4男の民和氏に贈与され、戦時中は一部接収を受けたらしいが その後も諸戸邸として用い続けられた。

昭和51年に所有権は諸戸産業に移り、宅地分譲が行われ、 一部が昭和55年に鎌倉市に寄贈されたが、このときには和風棟はほとんど姿を消していた。

この年、市は、プレールーム等に用いる木造平家を増築し、子ども会館としたが、 残されていた洋館部分は旧状に復する補修程度で当初の姿が残されている。

 建物の特徴

長谷子ども会館の特徴は、内外観の華麗な細部意匠にある。

外観の意匠の華麗さは、バルコニーに集中的に現れている。

バルコニーは、1・2階とも2本の独立円柱と2本の半円柱付柱を備えているが、 1階はドリス式オーダー、2階は、イオニア式オーダーが用いられている。

1階のドリス式オーダーの柱頭付近と、アーキトレーヴの中央と左右にはメダリオン飾りがつけられ、フリーズにはパテーラがつけられている。

2階には、イオニア式の柱頭、フリーズのアールをもつ隅部分にはパルメット文様の装飾、 そしてコーニス下端の持ち送りなど、大変デコラティブな雰囲気が醸しだされている。

さらに加えて、2階の鋳鉄製手すり、バルコニーに開く1・2階共のドア枠と窓枠のクラシックな装飾など、全体として極めて華麗である。

特に、中央のドア廻りの装飾は見ごたえがある。

また、窓もコーニス、持ち送りも含めて、大変クラシックな造形がなされている。

そして、この窓の造形は、バルコニーから左右のファサードへと連続していて、 建物全体に統一的なイメージが与えられているのである。

刳形も複雑な形をよく残しており、まさに明治期の建物でしかありえない手の込んだ造形意匠である。

内部もまた大変クラシックな意匠をとどめており、階段の親柱や手すり子、 天井コーニスの刳形や垂れ飾り、天井の中心飾りやコーニスの漆喰装飾、 各室で文様を変えるフローリングなどがそうであり、これらもまた明治でしかありえない造形である。

なお、暖炉のマントルピースの造形はこれらに比してやや簡素である。

以上のように、鎌倉市長谷子ども会館は、大正期や昭和初期の建物には通常見られない大変手の込んだクラシックな意匠を内外部にとどめている。

その造形密度は、規模のわりには過剰とも思えるほど賑やかであり、 18世紀イギリスのアダム様式をも思わせ、ややロココ的である。

この規模にして、これだけの造形密度の濃さは、大変珍しいものである。

ドリス式オーダー

ギリシア建築の3オーダーのうち最古のもの。柱はスタイロベート(基礎の切石積の最上段)のうえに直接たち、16~20本のフルーティング(柱身に縦方向 に刻まれた溝)を付けた柱身は膨らみを持ちながら上に向かって細まる。柱頭は単純な構成で、アバクス(柱頭とエンタブレチュアとの間におかれる正方形の板 状の部材)とエキヌス(アバクスの下にある断面円形の部材)より成る。各種のオーダーのなかでは簡素で力強い印象効果を与えるものである。

イオニア式

柱にはベースがあり、普通24本のフルーティングのついた柱身は、ドリス式に比べて細い。柱頭はヴォリュートと呼ばれる渦巻形を形づくり、その上部のアー キトレーヴは、通例三つの水平帯にわけられるが、その上部のフリーズはひと続きの面として形づくられる。

アーキトレーブ

ギリシア・ローマ建築において、エンタブレチュア(柱によって支えられる水平材)の最下部を構成する水平の部分。

フリーズ

エンタブレチュア構成する水平の部分。アーキトレーブとコーニスの間に位置する。一般に壁の上部、コーニスの下に設けられる帯状の面をフリーズと呼ぶ。装飾帯となる場合が多い。

パルメット

しゅろの葉をモチーフとした左右対称形の装飾模様。

コーニス

エンタブレチュアの最上部の突き出した水平帯。一般には壁の上部に限らず、各層を区切る部分につけられる装飾的な水平帯をもすべてコーニスと呼ぶ。

アダム様式

18世紀後半に創造された軽快優雅な古典主義的な様式。室内装飾に特色を発揮し、イギリスの伝統に古代ローマの建築要素や装飾モティーフを採り入れ、天井 や壁面の装飾から暖炉、家具、じゅうたん、ドアの把手のデザインまでを古典的趣味で統一しようとするもの。

ロココ(建築)

1730年頃から1770年頃にかけてヨーロッパに栄えたもので、ロココは元来、ロカイユ(貝殻装飾)を主要モティーフとする装飾様式を指す。主として当 時の教会堂や宮殿、邸館などの軽快、優雅、繊細な内部装飾や家具調度品の装飾に対して用いられた。

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