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更新日:2023年4月19日

小池邸

 第14号/平成8年3月1日指定

小池邸

この建物は、昭和2年に医師である吉川春次郎氏の別邸として建てられ、昭和34年に小池亮二氏の所有となりました。

山小屋(シャレ)風の玄関ポーチを中心とした北側正面と、複雑に重なり合うフランス瓦葺きの屋根は、大谷石の門柱や垣の石柱、前庭の樹木とともに大変魅力的な景観を形成しています。

小池邸は、昭和初期の中規模住宅の現在例として、大変貴重です。

 

所在地:大船二丁目

 

構造規模:

  • 木造2階建、和小屋組
  • 延べ床面積/130.20平方メートル
  • 屋根/フランス瓦葺き寄棟、一部亜鉛引鉄板葺き
  • 外壁/南京下見板張り、一部漆喰塗り

※令和5年3月に景観重要建築物等の指定を解除しました。

告示文(鎌倉市告示第286号)(PDF:553KB)

建物の沿革

小池邸は、大船田園都市株式会社が開発・分譲した大船駅東口の住宅地「新鎌倉」の一画に、 昭和2年、吉川春次郎別邸として建てられた。

大船田園都市株式会社は、大正10年の設立から昭和3年の消滅までの間に、 この地区に社営住宅を15棟、委託による設計・施工の住宅を10数棟建設している。

小池邸は隣家の対馬邸(大船2-16-11、大正14年竣工、もとは末川邸)とともに、 そのわずかに2棟のみの現存例ということになる。

この住宅は、昭和18年9月、家督相続により、所有権が長男の春寿氏に移るが、 相続後も別邸として使用されていた。 昭和34年5月には、現居住者の小池亮二氏が購入し、以後小池邸として現在に至っている。

創建時から小池氏が購入するまでの間、さしたる改造はなかったと見られるが、 昭和57年に主屋の東側の1・2階ともに比較的大きな改造が行われた。

1階の東端部は、サンルームのような部屋(1間×3間)を取り壊し、現在ある和室を設置し、 2階は、半間幅の廊下を取り壊し、同様に6畳の和室を設置した。

したがって、東側の外壁、それに連なる東端1.5間分の南北外壁、及びこの部分の屋根は、 昭和57年に設けられたものである。

この昭和57年の増改築を除けば、内外ともよく創建当初の姿をとどめている。

なお、主屋の南西隅にある付属屋は、昭和18年には既に存在していたものであるが、 その後の改造が大きくほとんど当初の姿をとどめていない。

建物の特徴

小池邸は、北側を道路に接する南北に長い矩形の敷地のほぼ中央に建っている。

外観の最大の特徴は、山小屋(シャレ)風の玄関ポーチを中心としたピクチュアレスクな1階北側ファサードと、複雑に重なり合うフランス瓦葺きの屋根である。

これらは、大谷石の門柱及び垣の石柱、それによく育った前庭の樹木とともに、 大変魅力的な景観を形成している。

細部意匠では、玄関ポーチの2本の下見板張り箱柱、玄関ポーチの大谷石で細かく細工された腰壁、 玄関ポーチ妻壁のパルメット模様の役物瓦、玄関ポーチ妻壁の持ち送り、 玄関東傍の部屋の窓先棚の持送り、南側のファサードになるが主室の庇を支える鉄製持送りなどが注目される。

役物瓦や鉄製持送りは当時の市販のもので、同時代の建物にしばしば用いられているものであるが、 時代の雰囲気をよく証言するものである。

小池邸は、増築部分を除いて内部も比較的よく旧状をとどめているのであるが、 中でも1階の2つの洋室と2階の当初からある6畳の和室とが注目される。

特に、すりガラスの入った引き込み戸で隔てられた1階の2つの洋室は、 意匠的には簡素であるけれども、当初の建具・調度も良く残されており、 大変魅力的なスペースとなっている。

この2つの洋室の細部意匠としては、漆喰天井の回り縁のモールディング、 天井四隅の三角形の空気抜き、そして主室天井中央の中心飾りが、時代をよく現している。

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