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更新日:2024年1月29日

広報かまくら令和5年度2月号2面

(くわしくは広報かまくらPDF版(PDF:5,151KB)をご覧いただくかお問い合わせください)

鎌倉彫塗師(ぬし) 小田 公(ただし)さん 73歳

いい漆(うるし)を使うと、麗しい色が出る

100年先まで使える鎌倉彫

【プロフィール】

24歳から鎌倉彫の世界に入り、塗師として50年。十二所(じゅうにそ)に工房を構える。自然や世の中の情勢にあらがわず、あるがままを受け入れる生活で漆に対峙(たいじ)する。

鎌倉彫に感謝!

漆塗りの作業場に入ると、もわっとした空気が立ち込めています。ここは十二所の谷戸に佇む小田漆工房。適度に湿気のある環境は漆を扱うのにぴったりなのだそうです。

「塗師は夜明け前に起きて、作業場の湿度と温度を作るところから一日が始まります」

20歳のときに九州から身一つで鎌倉に出てきた小田さん。偶然、鎌倉彫の店主と出会い、漆に魅せられたといいます。

「いい漆を使うと、麗しい色が出る。ほら、これはさっき塗った漆。もうこんなにきれいな色が出ている」

塗師として修行を積むことになったものの、誰かが教えてくれるわけではなく、見よう見まねで必死に覚えたそう。当時、時代は工芸品ブーム。「1日に300枚近く塗りました。でも、未熟でやり直しも多かったです」

小気味良く刷毛を動かす小田さんを見ていると、いとも簡単に塗っているように感じますが、実際、複雑な彫りに素早く、むらなく漆を塗るのはまさに職人技。体験教室などで塗り体験がないのはそのためです。

「漆は時間との勝負。作業場にどしんと座って、埃を立てないよう、無駄な動きをなくす。何でも体で覚えないとね」

意外にも、小田さんがこの仕事を楽しいと感じられるようになったのは、つい最近のことなのだそう。

「ようやく自分の納得いくものができるようになったからでしょうか。どんな仕事でもそうですが、とにかく納得できるまで続けること。そう思って、50年がんばってきました」

そんな小田さんを頼って、海外から弟子入りする人もいるそうです。「漆を通していろんな人と出会うことができました。鎌倉彫に感謝しています」

漆への愛、こだわり、確かな技──それは小田さんの生きざまそのもの。そんな有形無形の手しごとがこれからも鎌倉の伝統工芸を彩っていきます。

鎌倉彫 豆知識

彫師と塗師

鎌倉彫はその工程によって、さまざまな職人が携わります。大きく分けると、木地(きじ)に彫刻を施す彫師と、小田さんのように彫られたものに漆を塗る塗師がいます。また、木地を作る人や、彫りと塗りの両方を担う人もいます。

伝統的工芸品に指定

800年の歴史を持つ鎌倉彫は、経済産業大臣により「伝統的工芸品」に指定されています。産地組合などが実施する検査に合格した鎌倉彫には、伝統マークを使った伝統証紙が貼られています。
(伝統マークは、経済産業大臣指定伝統的工芸品のシンボルマークです)

また、「伝統鎌倉彫事業協同組合」を中心に、新しい製品づくりや後継者の育成が行われており、市でも鎌倉彫の文化継承をバックアップしています。

鎌倉彫リーフレットと動画ができました

鎌倉彫の歴史や制作工程などをまとめたリーフレットと動画(約40秒)ができました。最近、外国人観光客から体験教室や工房見学などの問い合わせが増えていることを受け、英語版も用意しました。

もっと鎌倉彫を知りたい人、興味のある人はぜひ、ご活用ください!

リーフレットや動画視聴は市ホームページから

鎌倉彫を知る・見る・買うには

市内には、鎌倉彫製品を扱う店が20店舗近くあります。また、下記2カ所では、鎌倉彫の知識を深めたり、鎌倉彫の彫刻体験などができます。

鎌倉彫工芸館(伝統鎌倉彫事業協同組合)

  • 由比ガ浜3-4-7
  • 電話:0467-23-0154

鎌倉彫製品の販売や展示会、職人による講習会・彫刻体験教室(要予約)などを行っています。毎週土曜日の午後には職人が在館し、質問などに応じています。

鎌倉彫会館

  • 小町2-15-13
  • 電話:0467-25-1500

鎌倉彫を紹介する資料館に、カフェ・ショップ・ギャラリーを併設。彫刻体験ワークショップ(予約不要)や制作工程の動画視聴も。

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