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更新日:2022年11月14日

平成11年度社会実験

はじめに

平成8年、10年に実施された社会実験では、「七里ガ浜パーク&レールライド」や「鎌倉フリー環境手形」に関する基礎的データが得られ、その後、「鎌倉地域交通計画研究会(以下「研究会」という。)」で課題や効果の分析を行った結果、本格実施に向けた最終的なシステムの確認(事業の採算性に合致した料金体系の確立や利用者ニーズに応じたスステム内容の構築)を行うことが必要と判断されました。

また、これまでのように局所的単発的に社会実験を実施するのではなく、多種の施策を組み合わせて、長期にわたり実施することで、地区交通計画全体の有効性をより明確に把握できるのでは、という意見が大半を占めました。

そこで、市と研究会は、平成11年度12年度の2ヵ年計画で新たな施策の導入に向けた社会実験に取り組むこととしました。

 実験の概要

平成11年度に実施した「鎌倉地域交通円滑化総合実験」では、前述のとおり「七里ガ浜パーク&レールライド」、「鎌倉フリー環境手形」の本格実施に向けたシステムの確認と、パーク&バスライド、歩行者尊重道路という新たな施策の基礎的データの収集を目的としました。

鎌倉地域交通円滑化総合実験に関する主な内容

施策名実施日等

実験の概要等

七里ガ浜パーク&レールライド

11月の土曜日・日曜日
9時~19時

システム利用者は、駐車場(350台収容)に車を停め、江ノ電七里ヶ浜駅でシステム利用料金1台1,500円(5時間の駐車料金、江ノ電七里ヶ浜~鎌倉駅及びJR横須賀線鎌倉駅~北鎌倉駅の1日フリー乗車券2人分含む)を支払い、乗車券を受け取る。
・同乗者(3人目以降)は、大人1枚500円(小人半額)で、1日フリー乗車券を追加購入できる。
・駐車超過料金は、30分当たり100円。

鎌倉フリー環境手形

11月中毎日発売
鎌倉フリー環境手形A(頼朝きっぷ)550円
・JR横須賀線利用者及び市民が対象。
・江ノ電鎌倉駅~長谷駅+5路線バスの指定区間が一日乗り降り自由。
・土曜・日曜・祝日は、JR鎌倉駅及び北鎌倉駅に特設デスクを設置し販売(8時~15時)。
・特設デスク設置時以外及び平日は、JR鎌倉駅及び北鎌倉駅のみどりの窓口、江ノ電鎌倉駅、観光案内所窓口で販売。
鎌倉フリー環境手形B(義経きっぷ)500円
・小田急利用者が対象。
・JR鎌倉駅~北鎌倉駅+5路線バスの指定区間が一日乗り降り自由
・小田急「江の島・鎌倉フリーパス(小田急乗車駅~藤沢駅間に江ノ電全線が乗り降り自由)」と組合せ、小田急各駅、小田急トラベルで販売。
鎌倉霊園パーク&バスライド
深沢地域パーク&バスライド

11月の土曜日・日曜日
9時~17時
鎌倉霊園パーク&バスライド
・システム利用者は、駐車場(97台収容)に車を停めた後、システム協力金1台当たり1,000円を支払い、鶴岡八幡宮近傍までシャトルバス(ミニバス)で移動。
・同乗者全員にシャトルバスの往復乗車券+復路のみ利用できる路線バス1回乗車券を配布。
・駐車時間は、当日のみ無制限。
深沢地域パーク&バスライド
・システム利用者は、駐車場(300台収容)に車を停めた後、システム協力金1台当たり1,000円を支払い、鎌倉市役所駐車場までシャトルバス(ミニバス)で移動。
・駐車時間は、当日のみ無制限。
今小路通り歩行者尊重道路

11月13日(土曜日)・14(日曜日)・20日(土曜日)・21(日曜日)
10時~16時
今小路通りを歩行者尊重道路として、車両流入抑制策(一方通行規制など)、速度低下策(ハンプ、狭さくの設置など)を実施。
乗合タクシー

11月の土曜・日曜・祝日
10時~16時
・鎌倉駅西口~法務局前~大仏裏~鎌倉文学館の降り返しで乗合タクシーを運行。
・パーク&ライド、鎌倉フリー環境手形利用者を対象とし、システム協力金として1区間100円、2区間以上200円を徴収。
情報提供による車両誘導策

11月27日(土曜日)・28日(日曜日)
10時~15時
・七里ガ浜パーク&レールライド駐車場の近傍沿道で、鎌倉駅までの所要時間(電車と自動車の場合)をドライバーに提供し、七里ガ浜パーク&レールライドを利用した場合に、その意向を把握。
実験実施の補助スタッフ ちらし配布員や切符販売補助員、アンケート調査配布員として、30日間で約450人のボランティアスタッフが協力。
その他 ・パーク&ライド、鎌倉フリー環境手形利用者については、協賛する寺社・美術館等・商店での特典付(12寺社・8美術館等・57商店)。

▲過去の実験についてはこちらをクリックしてください。(JPG:136KB)

 実験の結果

施策名・実施日等  

施策の評価等

七里ガ浜パーク&レールライド

8日間合計の利用台数は、498台、1日平均62台であり、平成8年の社会実験時と比較し利用度が低かった。これは、午前中の国道134号の渋滞が以前より緩和傾向にあり、比較的スムーズに走行できたことや、機関を限定した社会実験の周知不足が大きな要因と考えられる。

システム利用者に対して行ったアンケート調査の結果、システム内容は高い評価を得ており、システム料金(1,500円)も適当としている。

平成8年度の社会実験での要望を踏まえ、システム終了時間を19時までとしたが、適当との回答は、約6割に止まった。

本格実施した場合、9割強の割合で「大いに利用する」「利用する」との回答を得た。

写真:駐車場入口看板  写真:駐車場入口案内  写真:駐車場風景
▲駐車場入口案内看板 ▲駐車場入口の満空表示 ▲江ノ島を望む夕暮れの駐車場
鎌倉フリー環境手形

30日間の販売枚数は、8,375枚、1日平均279枚で、平成10年の社会実験時と比較して約1.2倍となっている。

利用者アンケート調査の結果、「非常に良かった」、「良かった」との回答が77%、「あまり良くなかった」、「良くなかった」は、19%であり、良くなかった点としては、渋滞によってバスの定時性が確保されていないこと、協賛店が少ないこと、行き先が不案内であることなどがあげられた。

価格については、「バス等の走行状況が社会実験当日と同等の場合であるならば適当」が54%となっており、概ね適切な水準にあると考えられる。

写真:手形販売  写真:広報横断幕  

画像:実験用の環境手形

▲特設デスクでの販売風景 ▲鎌倉駅のPR用横断幕 ▲実験に使用された切符
鎌倉霊園パーク&バスライド
深沢地域パーク&バスライド

鎌倉霊園は、8日間合計の利用台数が394台、1日平均49台、深沢地域は、8日間合計の利用台数が237台、1日平均30台であった。

道路が著しい渋滞を起こさなかったことや自動車の入庫に対して適宜シャトルバスを出発させたことで、両地区とも利用者の評価は概ね好評であった。また、料金についても1,000円程度が望ましいとのことであった。

「バスを優先的に走らせる方策」を望む意見が多く、その他に「地域内駐車場の満空情報」、「主な観光スポットへの所要時間」、「季節毎の観光イベントに対応したシャトルバスの運行」などがあげられる。

システム終了時間を18時~21時程度まで延長する要望が多く寄せられた。
※一般の駐車場の満空情報や主な観光スポットへの所要時間を提供し、適切なシステム料金を設定すれば、マイカーからバスへの乗り換えの可能性はあると考えられる。
※パーク&バスライドシステムを定着させるためには、バスに乗り換えたメリットを生み出す方策が必要である。
※鎌倉霊園は、道路のカーブに駐車場の入口があること、また深沢地域駐車場は、幹線道路から離れているため、両者とも駐車場の位置を利用者にわかりやすく案内することが必要である。

 写真:霊園を走るシャトルバス  写真:利用者アンケート  

写真:実験周知看板

▲鎌倉霊園を走るシャトルバス ▲利用者へのアンケート調査 ▲社会実験事前周知看板
今小路通り歩行者尊重道路 実験結果の詳細については、こちらをご覧下さい。
乗合タクシー

利用者数は、10日間合計で808人、1日平均81日であった。
利用した感想は、「とても便利であった(68%)」、「もっと多くのルートで運行してほしい(43%)」が多く、「あまり便利ではなかった(1%)」となっている。

利用者の88%が、1区間100円、2区間以上200円という料金に対して「適切である」と回答している。
※現在の料金システムでは、事業採算性を確保することは困難であり、運営していくための財源をどのように確保していくかが課題である。

 写真:乗合タクシー  写真:乗合タクシー2  写真:乗合タクシー案内看板
▲乗合タクシーの車両 ▲銀行駐車場を借用した待合所 ▲大仏裏での案内看板
情報提供による車両誘導策  実験日の午前中は、国道134号が比較的スムーズで、鎌倉駅付近までの所要時間も短かったため、所要時間の情報提供を行っても七里ガ浜パーク&レールライドを利用するものは少なく、あらかじめ同システムの利用を考えている観光客へのアンケート調査が主体となり、今回の情報提供の効果を検証するには至らなかった。
 写真:情報提供看板1  写真:情報提供看板2  写真:情報提供看板3
▲P&R駐車場500m手前付近 ▲P&R駐車場200m手前付近 ▲P&R駐車場100m手前付近

 

社会実験に係るその他の事項の整理

調査項目

内容

実験の周知活動とシステム利用者の情報源

今回の社会実験を実施するに当たっては、かなり大規模な周知活動を行ったが、各システム利用者の情報源として、パーク&ライド系では「路上看板」や駐車場近傍での「ビラ配布」、鎌倉フリー環境手形では「鎌倉に来てからの情報」が最も多くなっており、ドライバーや鉄道での直接的な情報提供の方法が有効であると考えられた。

これは、限られた期間において施策を周知することの困難さを示しているものと考えられる。

利用者への情報源としては、多様なメディアが有効とされているが、パーク&ライド系については、「カーナビゲーションシステム」、鎌倉フリー環境手形では、「駅や電車内におけるポスターの掲示(但し、長期間)」などが効果的と考えられる。

社会実験による効果・影響

今回の社会実験は、いくつかの施策を複合的に実施したが、パーク&ライド利用者が少なかったことから、鎌倉地域内の居住者や観光商業者が実験の効果や影響を認識するまでには至らなかった。

また、ここ2~3年で若干ではあるが渋滞が緩和されている傾向にあり、公共交通への転換が促進され難い状況であったため、過年度の実験とは単純に比較できない面もあった。


◆社会実験終了後の12月市議会において、一部の商業者から「社会実験の中止及びロードプライシングの導入に反対する陳情書」が提出された。陳情の主旨としては、社会実験を実施することによって、多くの観光客に「鎌倉は自動車で入れない」という誤解を与え、かつ、将来的にロードプライシングなるものが導入された場合、鎌倉の商業に大きな影響を及ぼす懸念があるというものであった。結果的にこの陳情に関しては継続審議となったが、慎重な対応を期する必要があるため、平成12年度に実施を予定していた仮想ロードプライシング社会実験については、見送ることとした。

 

お問い合わせ

所属課室:まちづくり計画部都市計画課交通政策担当

鎌倉市御成町18-10 本庁舎3階

電話番号:0467-61-3658

メール:koutsu@city.kamakura.kanagawa.jp

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