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更新日:2014年2月18日

平成20年度予算編成方針

1 本市をとりまく状況

 戦後日本社会は人々の意識から価値観まで、あらゆる分野において、経済や人口規模が「拡大」や「成長」 することを前提に構築されてきた。
しかし、長く続いた右肩上がりの時代から、低成長、少子高齢・人口減少社会に移行するなかで、民間企業はバブル崩壊後の10年間を「市場縮小の時代」 「マイナス成長の時代」と位置づけ、厳しい社会経済環境においても顧客の支持が得られるよう自己改革を実践している。
同じ社会経済環境にある本市も、労働力人口の減少に伴う中長期的な財政構造の悪化、介護保険に代表される福祉関連経費の増大、行政需要の拡大や質的変化 に伴う事務量の増加傾向といった外部環境の変化を的確にとらえ、時代の変化に即した行財政構造の改革を推進すべきである。
時代環境が及ぼす影響は地方分権においても例外ではない。地方分権推進の目的は「与えられる自治」から「創出する自治」への転換である。
行財政運営においては、これまで以上に「自己選択」「自己決定」が重視されることになるなか、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」が平成19年 6月22日に公布された。本法は、特別会計や外郭団体を含んだ負債の水準など新たな財政指標の整備とその開示の徹底を図るとともに、一定の基準以下の団体 については、早期健全化計画策定や外部監査の義務付け、起債の制限など、再生のための新たな法制度を整備するものである。本市としても、地方公共団体の財 政の健全化を進めるため、新しい法制の時代を迎えたことを念頭に置き、ただちに財政運営を点検し、問題があれば改善に取り組んでいくことが必要になる。
地方自治体の財政破たん問題がマスコミ等でも大きくクローズアップされており、市民の財政問題に対する関心は従前に増して高まっている。
予算編成は、市民のために「どのような予算措置をしたか」ということに終始するのではなく、どのような事務事業の見直しを行い創意工夫をこらしたか、財 源確保の手段をどこに求めたかを明確にし、それに伴う説明責任を十分に果たしていかなければ、真に市民の納得は得られない時代になってきている。
国の三位一体改革により7億円以上の国・県補助負担金が削減されたにもかかわらず、その財源措置として期待していた税源移譲がマイナスになるなど、鎌倉 市 の財政を取り巻く状況は厳しさを増してきている。既存事業を見直すことなく、年々変化し多様化している市民の要求・期待に対処していくことは困難な状況で ある。


2 20年度予算編成の基本方針

 平成20年度の予算編成にあたっては、第3次鎌倉市総合計画・第2期基本計画・前期実施計画に掲げられ た重点施策を中心とする事業への効果的な財源配分や、効率的な事業構築を進め、限られた財源の中で行政効果の最大化を図ることを基本方針とする。


平成20年度の財政 (歳入・歳出)見通しと財政環境


1 歳入について

 19年度予算においては、歳入の中心となる市民税は、景気回復や定率控除の廃止等により、約19億円近 く増収するものと想定していた。
しかし、給与所得者等の給与等は伸びているものの、市内の一部企業の業績低迷や、分離課税を中心とする個人市民税の伸び悩みなどを受け、現段階では19 年度の市民税決算値は大幅な下方修正を避けられない見通しとなっている。この修正は、当然のことながら来年度予算における市民税の見積りにも反映すること から、市税全体では、対前年度予算比約8億円の減収となる見込みである(19年度374億円、20年度見込367億円)。
三位一体改革で、国庫補助負担金の削減傾向が顕著になるなか、現状においては他の収入で市民税の減収を補える環境にはない。したがって、20年度の予算 編成は、対前年度比8億円減の歳入見込を前提にした厳しい状況下でのスタートとならざるを得ない。


2 歳出について

  歳出については、19年度に団塊世代の退職者がピークを越えたことから、退職手当の減や職員数の実質減 に伴う人件費の約8億円減が見込める。一方で、少子高齢化の進展に伴う恒常的な扶助費の伸びや福祉関連特別会計への繰出金の増加、国の制度改正等により市 が新たに担わなければならない事務経費の発生など、人件費を除く経常的経費は、人件費の減額分を上回る10億円以上の増大が予想される。


3 財政環境

 このように、歳入が減少する半面、経常的経費の増大が避けられない見通しのなかで、当初計画どおりに前 期実施計画事業を進めるためには、一般財源ベースで30億円以上の実施計画事業財源を捻出していかなければならないのが、現下の財政状況である。


平成20年度予算を 編成するにあたっての基本的な考え


 平成20年度の予算編成を行うにあたり、上記の財政環境・課題を十分に認識したうえで、さらに留意しな ければならない事項は次のとおりである。


1 コスト意識をもった予算編成

 コスト意識を持ち、積極的に事業の見直しを進めること。
具体的には次のような観点及び一般基準を基本とした予算編成を行う。
(1)必要性=目的の妥当性や行政が担う必然性があるかなど
(2)効率性=投入された行政資源(人・金・モノ)に見合った成果が得られるかなど
(3)有効性=事業を進めることにより期待された結果が得られるかなど
(4)優先性=上記観点からの検証を行った上で、さらに、他の事業よりも優先性・緊急性が認められるかなど


2 市民等との協働を視野に入れた事業構築

  今後の行政運営のあり方を考えた場合、市民等と行政とが「協働」し、対等な立場で連携しながら「新しい 公共」を創ることが求められているといえる。単に行政の補完的な役割を期待しての「協働」ではなく、市民等の独創性や英知を結集できる「協働」のあり方を 念頭におき、既存の事業見直しや再構築を行うこと。


3 国・県の予算動向の注視

 国財政の健全化等を背景に、地方税財政改革が大きく進められているため、これまで以上に国・県の予算編 成動向を注視し、的確な予算対応を図ることが必要である。
また、国県支出金の減少があった事業については、事業の見直しを図る機会と捉え、適切な対応をとらなければならない。
また、市民のためにどうしても継続しなければならない事業であっても、市費で肩代わりするのが当然とは受け止めず、あらゆる機会を通じて国、県へ要望を 行い、必要な財源確保について積極的な獲得努力を行うこと。


4 適正負担に基づく市民サービスの充実

 施設利用や各種行政サービスの提供に対して、受益者に応分の負担を求めることは、住民間の公平をはか り、トータルとして市民サービスを向上させていくうえでの重要な手段となる。
一定の行政分野においては、「低負担」→「過剰消費」→「貴重な資源の浪費」という図式を生じさせないためにも、利用者に応分の負担を求めるべきであ り、「市民が負担しなくて済むサービスがよいサービス」という固定観念にたたず、適正負担のあり方を検討した上での事業展開を行うこと。


5 新規事業に対する財源等確保

 新たに立ち上げる事業については、目的、費用対効果、後年度負担などを十分に検討したうえで、スクラッ プ・アンド・ビルドの原則に基づき、既存の事務事業の見直しを行う中で所要財源の確保を図ること。
また、新規事業により職員の増員が必要となる場合においても、部内等での職員の配置の見直し等で対処するよう努めること。


6 実態に即した予算要求、見積り額の十分な精査

 予算要求にあたっては、年度内に執行が必要となる事業量を十分に検討の上、多額の繰越し金や不用額が生 ずることがないよう留意すること。
業者からの見積りに頼ることなく、積算根拠、方法、価格の妥当性などを十分に精査すること。


平成20年度の予算 編成方式について


1 予算の要求にあたって

 ア 経常的経費

市民の立場に立って、市民の視点から事業の効果や有効性を検証し、事業担当部長の責任と判断に基づいて実態に即した予算を実現することを目的に、平成 15年度から「所管別配当方式」を採用し今日に至っている。
個々の施策内容と市民ニーズを熟知した原局が事業精査を行い、限られた財源のなかで、市民の満足度を高めていくことを目的とした当方式は有効な予算編成 手法と考えている。一方、この方式を採用して5年が経過するなかで、各部局間の不均衡が生じている面も一部に見られることから、全庁的な整合面を確保する ために再精査をしなければならない時期にきていることも事実である。
このため、平成20年度においてはゼロベースからの事業査定を行い、全庁的な視点から必要な事業に、必要な予算措置を講じるものとする。
なお、別途予算要求の上限額を積算し、各担当部等に示すため、要求はその限度内でとどめることとする。上限額を超えての要求については、見直しの上で再 提出を求めるので、各部等にあっては、市のおかれている財政環境を十分理解し、上限を越えた予算要求は厳に慎むよう、求めるものである(詳細は「予算編成 要領」を参照)。

イ 政策的経費

政策的経費については、別途通知される平成20年度予算化予定事業の内示結果に基づき個別に査定を行い、予算措置する額を決定するものとする。


2 職員数の減員と予算措置について

 平成20年度の職員の減員予定等については、10月初旬に行革推進課から各担当部局に示されるが、職員 の減員に対応して必要となる委託料、システム開発経費などについては、別途、行革推進課、職員課及び財政課で査定のうえ、必要な予算措置を図るものとす る。


3 行革等対応予算について

 職員意識の向上、市民等との「協働」、中長期的な観点からの行財政改革に寄与する取組み等の積極的推進 を図るため、次のような事業については、行革推進課及び財政課で査定のうえ、必要な財源を別途措置するものとする。
(1)市民ニーズや時代の要請に対応した、職員等からの事業提案等に基づく事業
(2)NPOや企業等との「協働」により、市民サービスの維持・拡充、行政コストの削減等の効果が期待できる事業
(3)有料駐車場整備のための初期投資、民間委託の推進などで、中長期的に鎌倉市の行財政にプラスの作用をもたらすことが期待できる事業


4 施設の維持修繕・老朽化対策について

 既存施設の老朽化が進むなか、施設を良好に維持し、施設寿命の長期化を図っていく必要がある。20年度 においても施設等の維持修繕料・施設修繕に係る工事請負費については、削減せず必要な経費を見込むこと。
また、19年度に引き続き、複数年度を視野に入れた弾力的な財源配分等が可能となる措置を継続するため、計画的な修繕に努めること(詳細は「予算編成要 領」を参照)。
なお、既定の維持修繕料等では対応できない、多額の事業経費を要する大規模修繕については、これまでどおり実施計画事業として取扱うものとする。


5 特別会計について

 特別会計については、個別査定を行う。予算要求にあたっては、使用料・保険料などの市民負担の適正化を 念頭に財源の確保を図るとともに、将来にわたる的確な収支見通しに基づく経費の節減・合理化に努め、一般会計からの繰入金を圧縮するよう最大限の努力を払 うこと。
なお、下水道事業特別会計については、財政計画により一般会計繰出金の圧縮が求められているため、使用料や事業の見直しを積極的に進め、別途、提示する 繰入金の範囲内での事業対応を図ること。


6 その他

 予算編成の細部については、別途通知する「平成20年度予算編成要領」による。
ここで示している財政見通し等は、現時点での推計値に基づいていることから、制度改正や国・県の動向等により、今後大きく変動することも考えられる。そ の際は、この予算編成方針に必要な修正を加え、別途再調整のうえ対処するものとする。




お問い合わせ

所属課室:総務部財政課財政担当

鎌倉市御成町18-10 本庁舎2階

電話番号:0467-23-3000

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