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更新日:2014年7月15日

平成23年度予算編成方針

鎌倉市をとりまく状況

平成20年の世界同時不況に端を発した景気の低迷は、我が国の経済に依然として深刻な影響を及ぼしています。今年8月に発表された内閣府の月例経済報告では、「景気は、着実に持ち直してきており、自律的回復への基盤が整いつつある」としている一方で、ほぼ同時期に発表された4月から6月期のGDP値は前期を大きく下回っており、その勢いは鈍化しつつあるという見方が示されています。

 昨年の衆議院選挙の結果、新たに政権を担うこととなった民主党は、そのマニフェストにおいて、「家計の可処分所得を増やし、消費を拡大し」、「日本の経済を内需主要型へ転換し、安定した経済成長を実現する」と述べており、「緊急雇用対策」や「緊急経済対策」などの施策により経済の回復を図ってきました。今年6月には、政府は「新成長戦略」に基づき、我が国の経済を本格的な回復軌道に乗せるとともに、現在の緩やかなデフレ状況を終結させるような政策運営を行うことを決定しました。このような政府の施策が一刻も早く実効を上げ、我が国経済が自律的に回復することを期待するところです。

 鎌倉市の財政状況に目を転じると、景気低迷による税収減が原因で、神奈川県内の11の自治体が平成22年度に普通地方交付税の交付団体に転落する中でかろうじて不交付団体にとどまったものの、地方自治体の財政的な豊かさを示す財政力指数は、ここ数年の安定した数値から大幅に悪化しています。また、平成22年度の市民税収入は、リーマンショック以降の不況の影響を最も深刻に受けたため、予算ベースでおよそ352億円と前年に比べ約10億円の大幅な減額としましたが、現在、この予算額の確保すら危ぶまれる状況になっています。

 これは、第3次鎌倉市総合計画第2期基本計画中期実施計画策定の際に推計した財政計画と比較すると大幅な歳入減であり、平成23年度以降の実施計画を予定通り進めるための財源を確保する上で深刻な問題となっています。

 このような中、平成22年度を行革元年と位置付け、事業仕分けを実施した本市にとっては、実施計画事業、経常的事業を問わず、すべての事業を見直しの対象とし、個々の施策ごとにその必要性、優先性等について根本から検討する必要があります。

 本市の財政状況が依然として厳しい環境にある中で、限られた資源を最大限有効に活用し、年々多様化する行政課題に確実に対応するためには、これまで以上に効率性や柔軟性に留意し、創意工夫を凝らして事業に取り組むことはもちろんのこと、その事業がそもそも本当に必要なのかということを原点に立ち返って考え直すことが、職員一人ひとりに求められます。

平成23年度の歳入、歳出見通しと財政目標

1 歳入について

歳入の中心となる市税は、平成23年度の市税収入は、予算ベースでは増収になる見込みですが、長引く景気低迷により平成22年度予算における個人、法人市民税収入が大幅な減額となっているため、現在推進している中期実施計画において当初推計した、財政計画上の市税収入見込みとの比較では、約12.6億円下回る状況となっています。

 個人市民税については、税収推計時に内閣府が発表した1月から3月期のGDP成長率が5%を超え、景気回復を表す数値を示していたため、景気回復による個人所得の伸びを見込み2%の増、法人市民税については企業の業績回復をもとに3億円増の見込みを立てて推計したほか、固定資産税については、ほぼ22年度並みとして推計しました。この結果、22年度予算と比較すると市税全体では約4.2億円の増収を見込んでいます。

 しかし、8月中旬に内閣府が発表した4月から6月期のGDP値は、実質、名目とも大きく後退し、特に名目GDPにおいては年率換算で前期に比べて3.7%減になるなど、景気の回復基調が大きく鈍化していることが示されました。なお、この結果をふまえた民間のシンクタンク等の見通しでは、22年度のGDP成長率は最終的には平均で1.9%程度の増になると予測していることから、税収推計の見直しは敢えてしていませんが、今後の景気動向等によっては、市税推計等を下方修正せざるを得なくなる可能性があります。

また、政府は、いわゆるひもつき補助金を廃止し、それに代わる財源として一括交付金制度の創設を検討していますが、本市のような普通地方交付税不交付団体に不利益になる制度とならないか懸念されるところです。

2 歳出について

歳出面においては、義務的経費の総額では2.4億円程度の減となる見通しです。これは、人事院勧告に基づく給与改定の効果等や職員数適正化計画の推進によって人件費が約3.7億円、市債の償還額の減少に伴い公債費が約2.1億円減少する見込みであることによるものですが、恒常的な増加傾向を示している扶助費が約3.4億円の増となっており、予断を許さない状況です。

3 財政目標

長引く経済不況の影響を受け本市の収支の悪化が懸念される中、平成21年度にスタートした中期実施計画を継続的に展開していく必要があるため、23年度は、実施計画事業充当一般財源30億円の確保を当面の目標とします。財政規律を維持するため、いわゆる赤字債の残高を減少させていくという市長のマニフェストに基づき、事業実施に必要な財源のうち臨時財政対策債については、発行額を最小限にとどめるものとします。そのため、市有財産のうち売却が可能な資産の売却益や各種基金の活用など、さまざまな手法により歳入を確保し、財源対策を講じる必要に迫られています。

 財源の確保が非常に厳しい状況下にありながら、現在、各部等から提出されている実施計画事業の平成23年度要求額の総計は目標値をはるかに超えています。このかい離は、事業の精査のみではとうてい埋めることができないため、今後、事業の優先度、熟度、緊急性、さらなる財源確保の可能性などを総合的に勘案し、平成23年度予算編成の作業を進めていくことが求められます。

平成23年度予算を編成するにあたっての基本的な考え

平成23年度の予算編成を行うにあたり、前述の財政環境・課題を充分に認識するとともに、7月に実施した事業仕分けの結果や審議の過程も考慮したうえで、次のような点に留意してください。

1 コスト意識をもった予算編成

コスト意識を持ち、先例にとらわれることなく、積極的に事業の見直しを進めてください。具体的には次のような視点を踏まえた予算編成を行ってください。

  1. 必要性:行政が担う必然性があるか
  2. 効率性:投入される全ての行政資源に見合う成果が見込めるか
  3. 有効性:期待される効果を最大化できる手法が選択されているか
  4. 優先性:上記観点を踏まえた上で、さらに他事業よりも緊急性が高いか

2 市民等との協働を視野に入れた事業設計

今後の行政運営のあり方を考えた場合、市民等と行政とが「協働」し、対等な立場で連携しながらまちづくりを進めていくことが求められていると言えます。単に行政の補完的な役割を期待しての「協働」ではなく、市民等の独創性や英知を結集できる「協働」のあり方を念頭におき、既存の事業見直しや再構築を行ってください。

3 国、県の予算動向への注視と要望

国財政の健全化等を背景に、地方行財政改革が大きな変容の時期を迎えています。国においてはひも付き交付金を廃止し、これに代わる措置として一括交付金制度の創設を検討しているところです。この制度の内容によっては、普通地方交付税の不交付団体である本市にとって大きな不利益となる恐れもあることから、これまで以上に国、県の予算編成動向を注視し、的確な予算対応を図ってください。特に国、県からの財政支援が減少する事業につきましては、事業の見直しの好機と捉え、先例にとらわれることなく柔軟な思考をもって対応してください。

また、市民のためにどうしても継続しなければならない事業についても、国、県からの財政支援の減少分を市費で肩代わりすることが唯一無二の選択肢であると即断することなく、あらゆる機会を通じて国、県への要望を行い、必要な財源確保について積極的に行動してください。

4 適正負担に基づく市民サービスの充実

施設利用や各種行政サービスの提供に際して、受益者に応分の負担を求めることは、住民間の公平を図り、住民サービス総体の向上を図る重要な要素です。

これまで述べてきたように、23年度予算を編成する上で、歳入の確保が非常に厳しいことから、受益者負担の検討に全庁的に取り組むこととしました。事業の性格、内容によっては、利用者に応分の負担を求めるべきであると判断されるものを洗い出すとともに、先進自治体の事例について情報収集し、本市の事業に適応可能かどうか研究するなど、固定観念にとらわれず、適正負担のあり方を検討した上で事業展開を行ってください。

5 新規事業に対する財源確保

新たに立ち上げる事業については、費用対効果を充分に検討してください。平成24年度以降、実施計画に充当可能な計画自由財源が減少すると予測される中で、特に、後年度のランニングコストに目を向け、健全な事業運営を可能とする事業設計を行ってください。また、新規事業に充てる経費につきましては、既存の事務事業の見直しによって捻出してください。

6 実態に即した予算要求

要求額の算定にあたっては、執行(見込)額や事務量の増減につながる要因を考慮に入れ、多額の不用額や不足額が生じることがないよう注意してください。事業者から徴した見積金額のみに頼ることなく、見積りの条件、実施方法の妥当性などについても充分に精査してください。

平成23年度予算編成における特記事項

1 予算要求にあたって

政策的経費

政策的経費の要求については、別途通知される平成23年度予算化予定事業の内示結果に基づいて行うものとします。

(2)経常的経費の所管別配当方式

平成23年度の経常的経費の予算要求にあたっては、前年度に引き続き、所管別配当方式を採用するものとします。個々の施策と市民ニーズを熟知した事業担当部局が適切な事業選択を行い、事業の優先度や効果を見極めた予算編成を行うことに当方式のねらいがあるため、くれぐれもこの趣旨を踏まえた予算要求を行ってください。

配当枠内において行われた予算要求についても、事業仕分けの手法を踏まえ、説明責任が果たせていない事業や、実現手法の適切度、期待できる効果の度合いが低いと考えられるものなど、再検討が必要と認められる経費については、財政課の査定を加えることとします。また、例年の実績から過大、過小と思われる経費等についても、同じく必要な見直しを加えます。

なお、現在の財政環境の下では、配当上限額を超えての要求を許容する財政的余裕はありませんので、配当枠内での予算要求を厳守していただきます。

2 予算配当枠の設定

例年のように財政調整基金や臨時財政対策債の活用を期待できない厳しい財政環境下において、重点事業に充てる財源を確保するためには、各種基金の活用などの財源対策に加え、事業の徹底的な見直しに基づき経費の削減に取り組まなければならない状況です。このため、平成23年度予算においては、予算配当枠の設定に際して、前年度予算額のうち対象経費に対し、5%の削減を実施するものとします。

3 職員減員対応経費

平成23年度の職員の減員予定等については、10月に行革推進課から各担当部局に示されることとなりますが、職員の減員に対応して必要となる委託料、システム開発費等につきましては、別途必要な予算措置を行うものとします。

4 行革等対応経費

職員意識の向上、市民等との「協働」、中長期的な観点からの行財政改革に寄与する取組み等の積極的推進を図るため、次のような事業については、必要な財源を別途措置するものとします。

  1. NPOや企業等との協働により、市民サービスの維持、拡充、行政コストの削減等の効果が期待できる事業
  2. 民間委託の推進などで、中長期的に鎌倉市の行財政にプラスの作用をもたらすことが期待できる事業

5 職員提案経費

職員提案制度により提案された事業のうち、審査の結果実施することとなった事業については、各部等への配当枠とは別に必要な財源を措置します。

6 補助金 

補助金の要求については、提出していただく補助金要求明細書を用いて、行革推進課及び財政課において査定を行います。

7 施設の維持修繕、老朽化対策

引き続き、弾力的な財源配分を可能とするための、施設等の維持修繕料・施設修繕に係る工事請負費については経費の複数年度を視野に入れた予算配分を行います。なお、規定の維持修繕料等では対応ができない、多額の事業費を要する大規模修繕については、実施計画事業としての取扱いとなる点に留意してください。

8 施設管理等

施設管理等について、管理内容等が類型化できるものは、一括契約の可能性を検討し、経費の節減につなげるよう努力してください。

9 特別会計予算

特別会計予算については、従前どおり個別査定を行います。予算要求にあたっては、特に、これまで以上に使用料、保険料等の市民負担の適正化を念頭に置き、財源確保に最大限の努力を行ってください。将来に向けた収支の健全化を重視し、一般会計からの繰入金に過度に依存することがないよう、あらゆる経費節減、合理化方策を検討してください。

なお、下水道事業特別会計につきましては、公営企業としての自立した経営状況の実現を目指し、使用料や事業の見直しを積極的に進めてください。

10 その他

ここで示している財政見通し等については、現時点での推計値に基づいて算定されていますので、制度改正や国、県の動向等により、今後大きく変動することも考えられます。その際には、この予算編成方針に必要な修正を加え、別途再調整のうえ対処するものとしますのでご留意ください。

 

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