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更新日:2014年2月18日

平成24年度予算編成方針

鎌倉市をとりまく状況


今年3月に発生した東日本大震災は、世界同時不況から立ち直りつつあったわが国経済を直撃し、約半年が経過した現在も依然として深刻な影響を及ぼしています。企業の4~6月期決算を見る限り、東日本大震災を克服し、企業業績の底打ち感が見えており、今年8月に発表された内閣府の月例経済報告では、「景気は、東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にあるものの、持ち直している。」としています。 しかし、一方で、同報告では、企業収益、企業の業況判断、雇用情勢などの面で依然として厳しいという評価をしています。また、今年度4~6月期の実質GDP速報値は、前期(1~3月)比0.3%減、年率換算で1.3%の減で、3四半期連続のマイナスとなり、さらに、ヨーロッパ諸国の財政危機や長引くアメリカの景気低迷による円高基調など、依然として好材料に乏しい状況となっています。

政府は数次にわたる補正予算により、震災からの早期復興を目指すとともに、景気浮揚策、雇用対策、産業空洞化対策等の施策を打ち出していますが、先行きは依然として不透明であり、予断を許さない状況です。

鎌倉市の財政状況に目を転じると、平成23年度の市民税収入は、予算ベースでおよそ352億円と前年と同額としていますが、平成22年度の決算額は予算額を下回る見込みとなり、今後、この予算額の確保すら危ぶまれる状況になっています。

また、神奈川県内においては、今年度新たに4の自治体が普通地方交付税の交付団体となる中、本市を含めた6団体のみがかろうじて不交付団体にとどまりました。しかし、本市の財政力指数は前年度よりさらに低くなっており、この状況が続くと、近い将来には本市も交付団体となる可能性があります。

このように非常に厳しい財政状況にもかかわらず、年々複雑化、多様化しており、さらに防災、減災対策をはじめ、新たな課題への対応も求められています。このため、すべての事業を原点から見直し、個々の施策ごとにその必要性、優先性を精査し、これまで以上に効率的に事業に取り組むのはもちろんのこと、事業によってはその内容の見直しや事業そのものの廃止や休止、延伸という厳しい決断を避けて通ることができない予算編成作業になると認識しています。

近年の歳入決算の実績額は、現在の中期実施計画の計画期間における財政計画の推計値よりも大幅な減となっている状況です。仮に平成24年度以降も、これまでと同規模の実施計画事業を進めていくとすると、職員人件費を含めた経常的経費の相当な切り込みの他、あらゆる可能性を模索した経営判断が求められる局面にあります


平成24年度の歳入、歳出見通しと財政目標


1 歳入について

市税の約半分を占める市民税のうち、個人市民税については、名目GDP成長率が民間の大手シンクタンクの推計で0.2%から1.8%と見込まれることにより、年少扶養控除の廃止に伴う若干の増収はあるもののほぼ横ばいと見込まれます。法人市民税については、平成22年度決算見込みと同額と見込んで推計しているほか、固定資産税については、ほぼ平成23年度並みとして推計しました。この結果、平成23年度予算と比較すると市税全体では大幅な増収は見込めない状況です。
また、8月中旬に内閣府が発表した4~6月期のGDP値は、実質、名目とも大きく後退し、特に名目GDPにおいては年率換算で5.7%減と実質GDPと同様3期連続のマイナスとなり、景気の悪化が鮮明になっていることが示されました。ただ、今年後半からは復興需要で景気が押し上げられ、平成24年度の成長率は高まるものと見込んでいますが、これには直近の1ドル80円を超える急激な円高や海外の景気減速を折り込んでいないため、今後の動向によっては、市税推計等を低く見積もっていかざるを得なくなると思われます。
また、政府は、いわゆるひもつき補助金を廃止し、それに代わる財源として一括交付金制度の創設を検討していますが、その全貌はまだ明らかになっておらず、震災の影響や本市のような普通地方交付税不交付団体に不利益な制度とならないか懸念されるところです。


2 歳出について

歳出面においては、人事院勧告に基づく給与改定の効果等や職員数適正化計画の推進によって人件費が微減、市債の償還額の減少に伴い公債費が約2.9億円減少する見込みですが、恒常的な増加傾向を示している扶助費が約3.4億円の増となっており、扶助費は今後も伸び続けると思われ、予断を許さない状況です。さらに、扶助費と並行して、後期高齢者医療事業特別会計、介護保険事業特別会計への繰出金も増加傾向を示しており、合わせて約2.6億円の増となっています。
一方、政策的経費として予算計上を行っている実施計画事業費については、平成24年度予算として要求額が示された総事業費のうち、一般財源ベースで約20億円程度の事業費は、長期継続契約を締結しているなど、実質的に選択の余地がない事実上の固定経費となっています。


3 財政目標

長引く不況の影響を受け本市の収支の悪化が懸念される中、平成24年度から後期実施計画の計画期間となりますが、今の財政状況では、市有財産のうち売却可能な資産の売却益や各種基金の活用など、さまざまな手法により歳入を確保し、財源対策を講じてもなお、今年度並みの実施計画事業充当一般財源の確保どころか、義務的な支出を伴う事業さえ実施することは困難です。
現在、各部等から提出されている実施計画事業の平成24年度要求額の総計は相当な額に達しています。このうち、前述のとおり約20億円は、固定経費として財源捻出が事実上義務付けられている事業費であることから、新たな事業展開を行うためには、この金額をさらに上回る計画自由財源の捻出が必要となります。今後は、事業の優先度、熟度、緊急性などを総合的に勘案し、事業自体の取捨選択を行うと同時に、基金の活用など財源措置の手法をあらゆる角度から検討していかなければなりません。その上で、さらに財源不足が埋め切れない場合には、職員人件費の削減も含めて、事業の廃止、休止、延伸を行うことが必要となります。


平成24年度予算を編成するにあたっての基本的な考え


平成24年度の予算編成を行うにあたり、前述の財政環境・課題を充分に認識したうえで、さらに留意していただきたい事項は次のとおりです。


1 コスト意識をもった予算編成

コスト意識を持ち、先例にとらわれることなく、積極的に事業の見直しを進めてください。具体的には次のような視点を携えた予算編成を行ってください。
(1)必要性:行政が担う必然性があるか
(2)有効性:期待される効果を最大化できる手法が選択されているか
(3)効率性:投入される全ての行政資源に見合う成果が見込めるか
(4)優先性:上記観点を踏まえた上で、さらに他事業よりも緊急性が高いか


2 財源確保について

新たに立ち上げる事業については、費用対効果を充分に検討してください。実施計画に充当可能な計画自由財源が大幅に減少すると予測される中で、特に、後年度のランニングコストに目を向け、健全な事業運営を可能とする事業設計を行ってください。また、引き続き事業の関連歳入を確保するよう努めていただくとともに、新規事業に充てる経費については、既存の事務事業の見直し(スクラップ アンド ビルド)によって捻出してください。
予算編成の新たな手法として、予算執行の段階での創意工夫による歳出削減や財源確保の取組みにより得られた額に対し、当該年度又は翌年度以降の予算編成時に別途応分の財源として付与するシステム(鎌倉市版インセンティブ予算)の試行を検討しています。これにより、創意工夫や努力の内容を財源として還元し、さらなる経費節減の意識向上や使い切り予算の是正を図ろうとするものです。


3 市民等との協働を視野に入れた事業設計

今後の行政運営のあり方を考えた場合、市民等と行政とが「協働」し、対等な立場で連携しながらまちづくりを進めていくことが求められていると言えます。単に行政の補完的な役割を期待しての「協働」ではなく、市民等の独創性や英知を結集できる「協働」のあり方を念頭におき、既存の事業見直しや再構築を行ってください。


4 国・県の予算動向への注視と要望

国財政の健全化等を背景に、地方行財政改革が大きな変容の時期を迎えています。国においては、「ひも付き補助金」を段階的に廃止して地方自治体が自由に使える財源として一括交付金制度を創設し、 平成23年度は、第一段階として都道府県分を対象に投資補助金の一括交付金化を実施しているところです。今後この動きが市町村に波及してくることから、これまで以上に国・県の予算編成動向に注視し、的確な予算対応を図ってください。特に国・県からの財政支援が減少する事業については、先例にとらわれることなく事業の見直しを検討してください。
また、市民のためにどうしても継続しなければならない事業についても、国・県からの財政支援の減少分を安易に市費で肩代わりすることなく、あらゆる機会を通じて国・県への要望を行うなど、必要な財源確保について積極的に行動してください。


5 適正負担の検討

施設利用や各種行政サービスの提供に際して、受益者に応分の負担を求めることは、住民間の公平を図るうえで必要です。
これまで述べてきたように、平成24年度予算を編成する上で、歳入の確保が非常に厳しいことから、受益者負担の検討に全庁的に取り組むこととしました。事業の性格、内容によっては、利用者に応分の負担を求めるべきであると判断されるものを洗い出すとともに、先進自治体の事例について情報収集し、本市の事業に適応可能かどうか研究するなど、固定観念にとらわれず、適正負担のあり方を検討した上で事業展開を行ってください。


6 実態に即した予算要求

要求額の算定に当たっては、執行(見込)額や事務量の増減につながる要因を考慮に入れ、多額の不用額や不足額が生じることがないよう注意してください。事業者から徴した見積金額のみに頼ることなく、見積りの条件、実施方法の妥当性などについても充分に精査してください。


7 後期実施計画

平成24年度から平成27年度までは後期実施計画の計画期間となります。限られた予算の中で、少子高齢化対策、安全安心対策等市長マニフェストも踏まえて事業計画を立案するよう心がけてください。


平成24年度予算編成における特記事項


1 予算要求にあたって

(1)政策的経費
政策的経費の要求については、別途通知される平成24年度予算化予定事業の内示結果に基づいて行うものとします。

(2)経常的経費の所管別配当方式
平成24年度の経常的経費の予算要求に当たっては、前年度に引き続き、所管別配当方式を採用するものとします。個々の施策と市民ニーズを熟知した事業担当部局が適切な事業選択を行い、事業の優先度や効果を見極めた予算編成を行うことに当方式のねらいがあるため、くれぐれもこの趣旨を踏まえた予算要求を行ってください。
なお、現在の財政状況では、配当上限額を超えての要求は認められません。


2 予算配当枠の設定

歳入の落ち込みに加え、これまでのように財政調整基金や臨時財政対策債の活用を期待できない厳しい財政環境下において、重点事業に充てる財源を確保するためには、各種基金の活用などの財源対策に加え、事業の徹底的な見直しに基づき経費の削減に取り組まなければならない状況です。このため、平成24年度予算においては、予算配当枠の設定に際して、前年度予算額のうち対象経費に対し、5%の削減を実施するものとします。
配当枠内において行われた予算要求についても、予算に対する効果が低いもの、すでに使命を終えていると認められるものなど、再検討が必要と認められる経費については、査定を加えることとします。また、例年の実績から過大、過小と思われる経費等についても、同じく必要な見直しを加えます。
※対象経費5%の削減に当たっては、必ずしも一律に行うのではなく、事業の優先度、熟度、緊急性などを充分に考慮し、スクラップ アンド ビルドの手法を取り入れるなどして行ってください。


3 職員減員対応経費

平成24年度の職員の減員予定等については、今後、行革推進課から各担当部局に示されることとなりますが、職員の減員に対応して必要となる委託料、システム開発費等につきましては、別途必要な予算措置を行うものとします。


4 行革等対応経費

職員意識の向上、市民等との「協働」、中長期的な観点からの行財政改革に寄与する取組み等の積極的推進を図るため、次のような事業については、必要な財源を別途措置するものとします。
(1)NPOや企業等との協働により、市民サービスの維持、拡充、行政コストの削減等の効果が期待できる事業
(2)民間委託の推進などで、中長期的に鎌倉市の行財政にプラスの作用をもたらすことが期待できる事業


5 職員提案経費

職員提案制度により提案された事業のうち、審査の結果実施することとなった事業については、各部等への配当枠とは別に必要な財源を措置します。


6 補助金



7 施設の維持修繕、老朽化対策

引き続き、弾力的な財源配分を可能とするための、施設等の維持修繕料・施設修繕に係る工事請負費については経費の複数年度を視野に入れた予算配分を行います。なお、既定の維持修繕料等では対応ができない、多額の事業費を要する大規模修繕については、実施計画事業としての取扱いとなる点に留意してください。


8 施設管理等

施設管理等について、管理内容等が類型化できるものは、一括契約の可能性を検討し、経費の節減につなげるよう努力してください。


9 特別会計予算

特別会計予算については個別査定を行います。予算要求に当たっては、引き続き使用料、保険料等の利用者負担の適正化を念頭に置き、歳入確保を行うとともに、歳出においてはさらなる経費削減や事業の合理化等により、一般会計からの繰入金への依存度を低くするよう努めてください。
なお、下水道事業特別会計については、公営企業としての自立した経営状況の実現を目指し、使用料や事業の見直しを積極的に進めてください。


10 インセンティブ予算の試行

インセンティブ予算は、他市で導入している「予算におけるメリットシステム」や「フィフティ・フィフティ事業」のように、経費の節減策や新たな収入確保の手法を具体的に示していただき、創意工夫や努力の内容を評価していくものです。単純な値上げによる増収を図るといったことではなく、創意工夫や努力の内容が問われるということに留意してください。


11 その他

ここで示している財政見通し等については、現時点での推計値に基づいて算定されていますので、制度改正や国、県の動向等により、今後大きく変動することも考えられます。その際には、この予算編成方針に必要な修正を加え、別途再調整のうえ対処するものとしますのでご留意ください。



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