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更新日:2018年12月17日

平成30年度予算編成方針

鎌倉市をとりまく状況


平成29年7月3日に日本銀行が発表した、6月の全国企業短期経済観測調査(短観)において、代表的指標である「大企業・製造業」の業況判断指数がプラス17と、約3年ぶりの高水準となり、景況感は3期連続で改善するなど、わが国の経済は緩やかに回復しています。また、平成29年8月14日に内閣府が発表した平成29年4月~6月期の国内総生産(GDP)の速報値においても、物価変動の影響を除いた実質値で前期比1.0%、年率換算で4.0%増と、9四半期ぶりの高成長となりました。

 

 

企業収益は、輸出企業を中心として堅調に売上高が増加しており、収益は当面底堅い推移が続くことが見込まれています。個人消費についても、日経平均株価が二万円台を一時回復したことなどを受けた消費マインドの改善等によって、緩やかな回復傾向にあり、自動車などの耐久財について消費増税前の駆け込み需要の反動減が一巡する動きがみられ、また外食などのサービス消費についても、回復の動きがでてきています。

 

 

 

しかし、企業の好調な業績にもかかわらず、世間の景気感覚は回復しておらず、今後の消費の伸びは不透明感に覆われたままであり、景気回復の効果が地方に及ぶにはまだ時間がかかる見通しです。消費増税をきっかけに低迷が続いていた個人消費が本格的な回復に向かうための賃金の伸びが弱く、その結果、好循環の実現に結びついていない状況です。加えて、北朝鮮のミサイル問題など、地政学リスクが今後日本経済に悪影響を及ぼす可能性も否定できない状況であり、株価の値下がりや円高に振れることによる輸出企業の業績悪化に繋がるリスクが潜在していることから、今後も日本経済を取り巻く現状を注視していく必要があります。

 

 

 

一方、鎌倉市の財政状況に目を向けますと、固定資産税の評価替えの影響などによる市税収入の落ち込みをはじめ、職員の定年退職者の増加に伴う人件費の増や、扶助費など社会保障費の増加が進展し、市の財政を圧迫する状況が継続しており、平成30年度は事業実施のための財源確保が大変難しくなる見込みです。これまでに引き続き防災・減災対策などに係る費用や中長期的な課題である公共施設の再編、社会基盤の維持・更新などに多額の費用についても見込まれることから、今後も厳しい財政運営が続く見通しです。

 

 

 

このようなことから、平成30年度においては、これまで以上にすべての事業について原点からの見直しを実施し、個々の施策ごとの当該年度での実施の必要性、優先性を精査し、状況に応じて事業の再構築を検討するなど、創意工夫を凝らした取り組みを行うと同時に、事業に着手することによる後年度負担等にも目を向けつつ、中長期的な視点に立ち積極的に事業の整理、統合、廃止を実施することが必要となります。

 

 


平成30年度の財政収支の見通しと当初予算配分枠


1 財政収支の見通し
 (1)歳出について

退職者数の増などによる人件費の増を前年度比約6.1億円と見込んでいます。また、特別会計に対する繰出金について、国民健康保険事業の広域化による影響や介護保険事業における新制度適用などにより、前年度比増額を約5.8億円と見込んでいます。

 

加えて、社会保障費の増加に伴い、扶助費の伸びを前年度比約3.8億円の増と見込んでいます。

 

その他の事業費の減額分を相殺した上で、一般会計歳出全体としては、平成29年度当初予算から約5.5億円の増となる約604.0億円を見込みます。


 (2) 歳入について

歳入予算において特筆すべきは、地方消費税交付金をはじめとした国からの交付金が、近年の決算状況から軒並み減額の見込みを立てざるを得ず、平成29年度予算と比較して約4.4億円の減額を見込んでいます。

 

市税については、個人市民税について、GDP名目成長率の伸びを加味した上での増収見込みを約1.3億円と見込んでいます。その一方で、評価替えによる固定資産税及び都市計画税の減を約1.1億円と見込んでおり、軽自動車税、市たばこ税においても減額が見込まれることなどにより、市税全体では、平成29年度予算と比較し、約0.3億円の減額を見込みます。

 

国県支出金については約7.0億円の増額を見込みますが、それは歳出予算の増に伴うものであることから、収支の好転に寄与するものとはなりません。

市債については、活用できる事業をできるだけ活用する形で計上しますが、平成29年度予算と比較し、約1.7億円の減額を見込みます。

以上、それぞれの増減要素を加味し、かつ財政調整基金について、平成29年度と同額の約19.5億円を繰り入れることにより、平成30年度の一般会計歳入全体としては、平成29年度当初予算から約2.5億円の増となる約601.0億円を見込みます。

 


2 当初予算配分枠

以上のとおり、平成30年度予算の財政収支については、財政調整基金を平成29年度と同額の約19.5億円を繰り入れることにより歳出が約604.0億円、歳入が約601.0億円となり、歳出が歳入を約3.0億円上回る赤字となる見込みです。

 

 

包括予算制度における配分枠については、翌年度の歳出見込額に対する歳入見込額を積算し、不足する際は、歳出の見込額を圧縮したうえ、各部等へ配分しています。平成30年度の一般会計予算については、上記のとおり大変厳しい収支見込のもとでの予算編成となることから、各部等においては、これまで取り組んできた以上に事業費の精査、優先順位付け、事務事業の見直しなどに徹底的に取り組んでください。

 

 


平成30年度予算編成の基本方針


【メインポリシー(基本方針の4本柱)】

 重点事業について適切な経費を計上する
 不要不急事業の洗い出しを行う
 事業の優先順位付けを徹底する
 創意工夫を取り入れる

平成30年度の予算編成に当たっては、重点施策の実現に結びつけるため、予算の理事者ヒアリング、各部の事務事業について意見交換を行った事業ヒアリング、補助金の見直しガイドライン等を考慮したうえで、次の点に留意し、予算編成を行ってください。

 


1 重点事業について適切な経費を計上する

約3.0億円の収支赤字見込みを解消する手立ては、削減に限界がある経常的な経費を見直すことでは解消できないことから、重点事業に踏み込んで見直しを行うことが必要であると判断しました。従って、重点事業について以下の点に踏み込んだ見直しを行うこととします。

 

 

(1)概算事業費や不確定事業の精査
平成29年度から平成31年度の3年間にわたる後期実施計画を策定し、重点事業として位置づけた施策を実施していますが、採択した事業の中には概算事業費で計上した事業や、具体的な実施行程が不確定な状態のまま採択されたものも見受けられ、その結果、計上する事業費が膨らんでいる部分が見受けられます。そのような事業費について言わば伸びしろをそのままに各部に配分することにより、事業費が確定した段階で不要となった配分枠が経常的な事業費の財源として使用されることとなり、財源の無駄遣いや余分な事業費を計上することが可能となるなど、限られた財源を有効に使うことができなくなってしまうものとなります。

 

そのような懸念から、計画に位置づけられた事業費をそのまま各部に配分していたこれまでの重点事業の配分方法を見直し、概算計上や実施不確定な事業については、適切な予算額を計上するために、財政課及び経営企画課で各部へのヒアリングや査定作業を経た上で各部に配分することとし、それまではペンディングの扱いとします。

なお、平成29年度から既に事業に着手しており、平成30年度は軌道に乗った形での実施となる事業については、事業費の精査は行いますが、実施については妨げません。


(2)平成30年度に着手する事業の実施可否の検討
まだ着手していない平成30年度スタート予定の事業については、その熟度を十分に精査し、実施の先送りや、実施内容を見直すことによる事業費の削減の可否について検討することとします。そのような事業についても、ペンディングの扱いとし、財政課及び経営企画課による各部へのヒアリングや査定作業を行った上で各部配当を行います。


2 不要不急事業の洗い出しを行う

重点事業以外の実施事業についても、その予算化が平成30年度予算で必ずなされなければならないものであるのか、先送りできる事業ではないかなどの検討を行い、不要不急な事業の予算化をしないこととします。これまで、予算要求時の調整・検討不足のまま予算化した事業が、執行の段階で実施不可能となったものや、執行の形態を変えての予算外執行となるケースなどが見受けられます。そのような実施の可否があいまいな事業を予算計上しなければ、事業費を圧縮することや他の事業を手厚く配分することも可能であったと思われます。よって、中途半端な予算計上を防ぐ観点からも、予算計上の段階で実施可否について十分に精査し、先送りが出来る事業は先送りするなど、無理や無駄をそぎ落とすことを念頭に熟慮した上での予算計上を行ってください。


3 事業の優先順位付けを徹底する

重点事業をはじめ、理事者ヒアリング等を通じて、各部において優先的に取り組むこととした事業については、予算を優先的に配分してください。そのため、これらの事業と比較して優先度の低いと判断した事業については、事業の整理、統廃合等を行うことによって優先すべき事業の財源を捻出してください。

 

 

過去の予算編成においては、事業の優先度ではなく、事業費を一律に削減し、事業費を捻出していた部等が見受けられましたが、このような手法を用いることなく予算編成を行ってください。

 


4 創意工夫を取り入れる

包括予算制度による予算編成では、各部等に配分される一般財源に、特定財源を上積みすることにより、歳出予算規模を拡大することが可能となるほか、創意工夫によって生み出された財源については、一部を後年度の各部等配分額に上乗せすることができます。

 

 

各部等においては、引き続き広告料収入や土地の貸付等の歳入の確保や新たな国・県補助金の獲得に努めるとともに、先進市の取り組みや各課等において先行して実施している取り組みなどを参考に、これまでの仕組みにこだわらない様々な手段の検討を行ってください。

 

自ら必要な財源を確保し、市民サービスの維持・向上に繋げるという視点に立ち、柔軟な発想で予算編成を行ってください。

 


5 身の丈に合った取り組みにする

国県支出金による財源措置の廃止、縮減分を市費で肩代わりしているような事業や近隣市、同規模類似団体における取り組み、予算措置を上回っている事業につきましては、身の丈に合った取り組みとするため、制度の廃止や縮減、対象や単価の見直し等を行い、事業費を縮減してください。また、特に一部の限られた受益者に対する公費支出となっている事業等につきましても、事業の存続を含めて再検討してください。なお、段階的な見直しや激変緩和措置を要する場合は、平成30年度予算編成に併せて、翌年度以降の制度見直しに係る年次計画の策定に努めてください。


6 受益と負担の適正化を図る

施設利用や各種行政サービスの提供に際して、受益者に応分の負担を求めることは、住民間の公平を図るうえで極めて重要です。施設やサービスの利用者、事業参加者が適正な負担となるように、固定観念にとらわれることなく、見直しを行ってください。また、各種減免制度については、従前の例にとらわれることなく、ゼロベースでの見直しを行ってください。更に、市有財産の無償もしくは相場を下回る価格での貸付を行っている場合についても、適正な価格となるように、見直しを行ってください。


7 担い手の再検討を行う

事業の担い手として、行政が行う必然性の有無を再検討してください。市が直営で行っていた事業の民間委託化をはじめ、市民等の独創性や英知を結集できる「協働」によるまちづくりや、行政と民間企業とが互いにWin-Winの関係を築くことができる民間活力の導入手法を検討するなど、前例や慣例にとらわれることなく、新たな発想による再検討を試みてください。

 

 

施策目標を実現するにあたり、最小限の経費によって最大限の効果を生む手法の検討に重きを置いた予算編成を行ってください。他市における先進的な取り組みも調査し、本市においても実施可能なものがあれば積極的に取り入れてください。

 


8 全ての補助金等の必要性と妥当性について再評価、再点検を行う

全ての補助金等について、平成30年度の鎌倉市における必要性と補助率、補助額、対象者等の妥当性について例外なく再評価、再検討を行ってください。「鎌倉市補助金等に係る予算の執行に関する取扱要綱」では、おおむね、公共的団体等の運営費に対する補助率を1/3以内、建設的事業費(投資的なもの)は2/3以内、行事的な経費は1/3以内と、基本的な交付基準を定めています。特にこの交付基準を超えた補助を行っている補助金等につきましては、例外的な扱いとしなければならない必然性の有無を再点検してください。

 

 

また、時代の要求に合わなくなった補助金、一定の役割を終えた補助金につきましては、新たな社会的ニーズに応える財源を捻出するため、廃止に向けた検討を行ってください。

 

さらに、団体補助につきましては、団体の活動内容や補助対象経費の公益性を再評価するとともに、団体の収支状況を詳細に確認し、これまでの補助実績にとらわれることなく、客観的、合理的な視点から、市が担わなければならない財政負担の最適化を図ってください。


9 事業評価結果の反映を行う

事業評価制度における評価対象事業については、その評価結果を適切に反映した事業内容としてください。また、事業評価対象外事業についても点検を行い、効果的かつ効率的な事業実施を行うなど改革・改善に努めてください。

 

 

10 市単独事業の見直しを行う

市単独事業については、制度継続の合理性等を必ず整理し、必要に応じて制度改正を積極的に行ってください。

 

 

11 ふるさと寄附金制度に係り追加配分した予算を適切に事業に反映する

ふるさと寄附金制度については、本市へ寄附をしていただいた寄附者の意向を反映した予算の配分を行うため、寄附者の意向内容を財政課で把握し関係各部に連絡する予定ですので、予算編成に当っては、適切に事業に反映させてください。

 


 

 

 

 

 

平成30年度予算編成における特記事項


1 予算配当枠の設定

「鎌倉市包括予算制度」に基づく予算編成要領に従い、一般財源を配当します。配当した一般財源と部等が所管する特定財源との合計額をもって歳出予算要求限度額とします。

 

 

ただし、先に記述したとおり、一部の重点事業について、適切な予算額を計上できる状況であると財政課及び経営企画課が判断した段階で各部に配分しますので、枠の配当は先に重点事業以外の部分について各部配当し、重点事業分については精査が完了した段階で各部配当する段階的な配分実施とします。

 


2 予算要求内容の財政課協議

包括予算制度の予算編成権限は各部長等にありますので、制度上財政課は要求予算の款項目節が適切であるか、全庁的に統一性を維持すべき案件等について予算要求基準に沿った要求となっているかなどの点検のみ行うものとしており、要求内容は原則として尊重することとしています。
しかし、平成30年度の収支見通しが先に述べた状況であることから、今回の予算編成においては収支の不足を解消するべく財政課において予算要求内容を精査し、必要に応じて削減の措置を行います。

 


3 職員減員対応経費

平成30年度の職員の減員予定等については、今後、行革推進課から各担当部局に示すこととなりますが、職員の減員に対応して必要となる委託料、システム開発費等については、各部等への配当枠とは別に、財政課の査定により、別途必要な予算措置を行うものとします。

 


4 行革等対応経費

中長期的な観点からの行財政改革に寄与する取組み等の積極的推進を図るため、民間委託の推進等により、中長期的な財務メリットにつながることが期待できる取り組みに係る先行投資に相当する事業費については、各部等への配当枠とは別に、財政課の査定により、別途必要な予算措置を行うものとします。

 


5 施設の維持修繕、老朽化対策

施設の維持修繕費については、別枠配当を行わず、全体の枠の中に含めて配当しますので、必要な財源を施設の維持修繕費に配分するものとします。


6 施設管理等

施設管理等について、管理内容等が類型化できるものは、一括契約の可能性を検討し、経費の節減につなげるものとします。

 


7 特別会計予算

特別会計予算につきましても包括予算制度による予算編成を行います。ただし、予算要求に当たっては、引き続き使用料、保険料等の利用者負担の適正化を念頭に置き、歳入確保を行うとともに、歳出においてはさらなる経費削減や事業の合理化等により、一般会計からの繰入金への依存度を低くするよう努めるものとします。

 

 

なお、下水道事業特別会計については、公営企業としての自立した経営状況の実現を目指し、使用料や事業の見直しを積極的に進めるものとします。

 

 


8 インセンティブ予算制度

インセンティブ予算は、新規歳入の獲得や、歳出額の削減等につながる提案に対して予算上のインセンティブを与えようとするものですので、この制度を積極的に活用するものとします。

 

 

9 その他

ここで示している財政見通し等については、現時点での推計値に基づいて算定されていますので、制度改正や国、県の動向等により、今後大きく変動することも考えられます。その際には、この予算編成方針に必要な修正を加え、別途再調整のうえ対処するものとします。

 

 

 

 

 



 

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