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更新日:2023年6月19日
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イベントは臨済宗建長寺派総務兼内務部長の村田靖哲さんのお話から始まりました。「禅というのを説明するのはなかなか難しいので、まずは体験していただきたい」と丁寧に坐禅の作法をご指南いただき実際に坐禅を組みました。坐禅開始の合図である柝(たく)と鐘の音が響くと会場は一瞬で静寂に包まれ、参加者の呼吸だけがかすかに聞こえます。そして一時の集中の時間。これもまた鎌倉らしい経験となったことでしょう。
坐禅が終わり、村田さんのお話が続きます。「そもそも『ビジネス』とは何だろう。その意味を知りたいと思いネットで調べてみたところ、どうやら古代英語の『Bisigness』が語源になっているということでした。その意味というのは、ケアとか心配事などを指すもの。自分という存在の日常を埋めている物事という解釈が含まれて、それが現在の仕事など経済を表す言葉に発展していったそうです。禅の修行は、己事究明の道。己事究明は『自分を知る』、『自分に真正面から向き合う』といった意味があり、ただひたすらに『自分とは何か』という課題に取り組み、自分に向き合います。なかなかそれに気がつくことは難しいのですが、普段忙しくとも、ふと立ち止まって自分を見つめ直すときがあってもいいと思います。いつも相手の立場になって考える。そして自分と向き合いそれを受け入れ自分自身を磨いていくことで、人の深さや幅につながってくるのではないかと思います。それがきっと皆さんのビジネスに活きるのではないでしょうか」
その後再び坐禅を行い、心を穏やかにしてテレワークタイムへと進みました。
テレワークタイムでは、Wi-Fi完備の境内で、参加者は用意された座卓、机、椅子、単布団(坐禅用座布団)などを思い思いのスタイルに合わせ仕事を行うための環境を整えていました。ある方は、建長寺の名勝、方丈庭園を望む得月楼の廊下に座卓を構え、ある方は本来坐禅を行う場となる方丈でPCを広げ、またWeb会議でプロジェクト進行を実践されておられる方もいらっしゃいました。都内から参加されたメーカーにお勤めの方は、「会社ではテレワークを推奨しているものの、社内にはまだまだ古い考え方が存在し、テレワークに対して否定的な意見があります。理解を得るために実践する、加えてテレワークのためのツールを試す良い機会だと思い今回参加しました。このようなイベントが頻繁に開催され、メリットが周知されると良いと思います。また鎌倉には、テレワークをされている方のコミュニティが多くあることを知り、とても魅力に感じました。今後も機会をつくり鎌倉でテレワークをしていきたいですね」と話しています。
午前10時から始まったテレワークタイム。5時間の体験を参加者それぞれが感じた『寺ワーク』を共有するためワークショップを行いました。冒頭には、鎌倉に本社を置く株式会社カヤックの渡辺裕子さんをゲストにお招きし、「私たちが鎌倉で働く理由」をテーマに鎌倉市行政経営部の橋本怜子課長とのトークセッションを行いました。最近鎌倉に移住した渡辺さん。都内に身を置き仕事をしてきた中、現在のテクノロジーを利用すれば、その場にいなくてもプロジェクトの進行に影響はないということに気がついた。と同時に自然が豊富な鎌倉で過ごしていくうち、そのライフスタイルがとても魅力的と感じ、いろいろな可能性が芽生えてきたそうです。そして移住を機に、思い切って鎌倉の会社に転職されました。都内まで横須賀線で約50分。そういう立地条件の鎌倉にご自身は移住したというよりは、行動範囲がさらに広がったという感覚だそうです。
『寺ワーク in 鎌倉』は市外からの参加者が大半でした。お寺で、講話を聴いて坐禅を組む。そんな非日常を体験することで、“都会で働く”という利便性を求めるワークスタイルだけではない働き方を実感していただけたようです。海と山に囲まれた鎌倉で、目に飛び込む景色やふと吸い込んだときの空気のおいしさを感じながら過ごせば、きっとライフスタイルも充実しそう。そして『鎌倉で働くことの可能性』を感じるという声を伺うことができました。
鎌倉を“働くまち”として魅力を感じていただくことをテーマに開催した『寺ワーク in 鎌倉』。このイベントを通し、多くの方に自分の集中力が上がる場所で、自分の好きな場所で働くということ。そしてプライベートな時間も大切に、自分らしく過ごすこと、それが叶う場所として鎌倉の可能性をイメージしていただけたのではないでしょうか。