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更新日:2014年2月18日

平成21年度予算編成方針

鎌倉市をとりまく状況


小泉内閣による三位一体改革は、国と地方自治体との間の歳入構造の組み替えを行うことにより、新しい時代に適応する地方自治のひとつのあり方を示した。しかし、鎌倉市にあっては、この改革により、国、県からの補助負担金約7億円が削減されたにもかかわらず、その財源となるべき税源移譲が講じられなかっただけではなく、逆に住民税のフラット化により約4億円のマイナス影響がでる結果となった。合計で10億円以上になる歳入の削減効果は、平成19年度の経常収支比率の悪化(平成18年度の経常収支比率88.0%が19年度は93.5%に上昇)の主要因にもなっており、鎌倉市を取り巻く財政環境は極めて厳しいものとなっている。

その後も「地方税の偏在是正」の流れのなか、「法人二税の配分見直し」「ふるさと納税制度」など都市部から地方への税源移転に向けた動きが強まっており、いわゆる「都市部の富裕団体」とみなされている本市の財政状況を好転させる地方財政制度の創設を期待できる環境にはなく、今後も国の財政的支援等がない中での厳しい財政運営を覚悟しなければならない状況である。

このような中にあって、自主財源比率、特に歳入に占める個人市民税の比率が極めて高い鎌倉市の平成21年度予算編成を大きく左右する要因は経済動向のあり方になるが、平成20年4~6月期の国内総生産(GDP)速報では、同期の実質GDPは年率換算で2.4%減となるなど、景気後退期だった平成13年7~9月期以来の減少率を記録している。さらに原油や食料の高騰、世界経済の減速で、国内需要の柱の個人消費も7四半期ぶり、海外需用を担う輸出も13四半期ぶりのマイナスに陥るなど、内外需とも総崩れの状態になっている。

平成14年2月からの戦後最長の景気拡大が終わり経済の後退局面での予算編成、またバブル崩壊後長期にわたって続いていた物価下落局面から打って変わって物価高を前提とした予算編成に取り組まざるを得ないのが現下の経済情勢である。

一方、厳しさを増す経済情勢であるがゆえに、市に寄せる住民の期待・要望は高まっており、日々生まれる新たな行政課題に的確に対応し、市民一人ひとりの生活を守っていかなければならない行政の責務は非常に重いものとなっている。

第3次鎌倉市総合計画第2期基本計画実施計画のローリングにより、平成21年度は、鎌倉市にとって新たな事業計画の幕開けを迎える区切りの年となるが、上述のとおり非常に厳しい財政環境の中でのスタートになる。中期実施計画事業を実りあるものとするためにも、自らが置かれた厳しい財政環境について全職員が共通認識し、状況に応じて新たな視点から事業を見つめ直し再構築するなど、これまでに増して創意工夫を凝らした予算編成作業への取組みが求められるものである。


平成21年度の歳入、歳出見通しと財政目標


1 歳入について

歳入の中心となる市税は、前年度に比べ約3.5億円の減収になる見込みであるが、その主な要因は、平成21年度は固定資産税の評価替えの年度にあたり、前回評価替えからの3年分の家屋についての評価価値の下落分が税額に反映するためである。
その他、財産収入の減少等により、平成21年度の経常的歳入は、前年度を約5億円下回る約489億円という歳入規模を前提とした予算編成となる。
なお、現在、景気が下降局面に移行しつつあり、本市税収の根幹をなす個人市民税及び法人市民税が大きな影響を受ける可能性があることから、今後の動向によっては現時点での市税推計を下方修正せざるを得なくなる恐れがある。


2 歳出について

歳出面においては、団塊世代に対する退職金の支払いがピークを越えたことなどから、5.5億円程度の大幅な人件費の縮減が見込まれるが、恒常的な増加傾向を示している扶助費については約4.2億円(過去の実績推移から7%程度の増)、また公債費については約1.9億円の増が見込まれるため、義務的経費の総額では0.6億円程度の微増になる見通しである。
繰出金やその他事務経費の減額により、経常的歳出の全体としては前年度から微減(▲1.5億円)の約478億円にとどまる見込みであるが、原油価格高騰に起因する様々な原材料等の価格の上昇が現在も続いており、現時点での見込み値よりも経常的経費がさらに拡大する可能性も高い。


3 財政目標

経常的経費においての剰余財源は11億円程度であり、平成20年度の予算編成方針策定時期の見込み値に比べ約3.5億円程度収支が悪化する見通しである。
平成21年度は、冒頭で記載したとおり、中期実施計画のスタートの年として、前期実施計画から引き継いだ課題への対処、各種施策・事業を展開していくための所要財源が必要となるため、非常に厳しい収支状況ではあるが、実施計画の事業水準を現状並みに維持すべく、平成20年度当初予算と同額の実施計画事業充当一般財源33億円の確保を当面の目標とし、臨時財政対策債や各種基金の活用などの財源対策を講じるものとする。
しかしながら、現在、各部等から出されている実施計画事業の平成21年度要求額の総計は、ここに掲げる目標値をはるかに超えている状況である。
既定の計画・事業を前提とした事業精査のみではとても追いつかないのが実情であるため、今後、事業の優先度、熟度、緊急性、さらなる財源確保の可能性などを総合的に精査し、これらの乖離を埋めていくことが平成21年度予算編成の大きな課題となる。


平成21年度予算を編成するにあたっての基本的な考え


平成21年度の予算編成を行うにあたり、前述の財政環境・課題を充分に認識したうえで、さらに留意しなければならない事項は次のとおりである。


1 コスト意識をもった予算編成

コスト意識を持ち、先例にとらわれることなく、積極的に事業の見直しを進めること。具体的には次のような視点を携えた予算編成を行うこと。
(1)必要性:行政が担う必然性があるか
(2)効率性:投入される全ての行政資源に見合う成果が見込めるか
(3)有効性:期待される効果を最大化できる手法が選択されているか
(4)優先性:上記観点を踏まえた上で、さらに他事業よりも緊急性が高いか


2 市民等との協働を視野に入れた事業設計

今後の行政運営のあり方を考えた場合、市民等と行政とが「協働」し、対等な立場で連携しながら「新しい公共空間」を創ることが求められているといえる。単に行政の補完的な役割を期待しての「協働」ではなく、市民等の独創性や英知を結集できる「協働」のあり方を念頭におき、既存の事業見直しや再構築を行うこと。


3 国、県の予算動向への注視と要望

国財政の健全化等を背景に、地方行財政改革が大きな変容の時期を迎えていることから、これまで以上に国、県の予算編成動向を注視し、的確な予算対応を図ること。国、県からの財政支援が減少する事業については、事業の見直しの好機と捉え、先例にとらわれることなく柔軟な思考をもって対応すること。
また、市民のためにどうしても継続しなければならない事業についても、国、県からの財政支援の減少分を市費で肩代わりすることを唯一無二の選択肢であると即断することなく、あらゆる機会を通じて国、県への要望を行い、必要な財源確保について積極的に行動すること。


4 適正負担に基づく市民サービスの充実

施設利用や各種行政サービスの提供に際して、受益者に応分の負担を求めることは、住民間の公平を図り、住民サービス総体の向上を図る重要な要素である。
一定の行政分野においては、「低負担」→「過剰消費」→「貴重な資源の浪費」という図式を生じさせないためにも、利用者に応分の負担を求めるべきであり、「市民が負担しなくて済むサービスがよいサービス」という固定観念にたたず、適正負担のあり方を検討した上での事業展開を行うこと。


5 新規事業に対する財源等確保

新たに立ち上げる事業については、費用対効果を充分に検討すること。特に、後年度のランニングコストに目を向け、健全な事業運営を可能とする事業設計を行うこと。
また、既存の事務事業の見直しによって捻出した財源を新規事業に充てること。 また、新規事業により職員の増員が望まれる場合においても、部内等での職員配置の見直しなどの工夫を検討すること。


6 実態に即した予算要求

要求額の算定にあたっては、執行(見込)額や事務量の増減につながる要因を考慮に入れ、多額の不用額や不足額を生じることがないよう注意すること。事業者から徴した見積金額のみに頼ることなく、見積りの条件、実施方法の妥当性などについても充分に精査すること。


平成21年度予算編成における特記事項


1 予算要求にあたって

(1)政策的経費

政策的経費の要求については、別途通知される平成21年度予算化予定事業の内示結果に基づいて行うものとする。

(2)経常的経費の所管別配当方式

平成20年度予算編成においては、ゼロベースからの事業査定により、平成15年度から行っている所管別配当方式により生じた各部局間の不均衡や全庁的な整合性を確保するために再精査を行ったところである。平成21年度の経常的経費の予算要求にあたっては、従来の所管別配当方式に戻すが、個々の施策と市民ニーズを熟知した事業担当部局が適切な事業選択を行い、事業の優先度や効果を見極めた予算編成を行うことに当方式のねらいがあるため、この趣旨を踏まえた予算編成を求めるものである(各部等の配当枠についての詳細については予算編成要領を参照されたい)。
配当枠内において行われた予算要求については基本的に各部等の判断を尊重するものであるが、全庁的な視点からバランスを欠く経費、実現手法の適切度、期待できる効果の度合いといった切り口から、再検討が必要と認められる経費については、必要な修正を加えることとする。また、例年の実績から過大、過小と思われる経費等についても、同じく必要な見直しを加える。
なお、現在の財政環境の下では、配当上限額を超えての要求を許容する財政的余裕はないため、配当枠内での予算要求を厳守するとともに、枠内での対応が困難な場合は、各部等内での編成途中においても財政課の助言等を仰ぎ、既定経費の圧縮に努めること。


2 予算配当枠の設定

厳しい財政環境下において、重点事業に充てる財源を確保するためにも予算配当枠の削減を実施しなければならない状況ではあるが、これまでのデフレ傾向から一転して、物価の上昇局面に入ったことを踏まえ、平成21年度予算においては、原則として前年度と同額の枠配分を行うため、各部等にあっては配分枠内の中で物価の上昇等に対処すること。


3 職員減員対応経費

平成21年度の職員の減員予定等については、10月に行革推進課から各担当部局に示されることとなるが、職員の減員に対応して必要となる委託料、システム開発費等については、別途、行革推進課、職員課及び財政課において査定の上、必要な予算措置を行う。


4 行革等対応経費

職員意識の向上、市民等との「協働」、中長期的な観点からの行財政改革に寄与する取組み等の積極的推進を図るため、次のような事業については、行革推進課及び財政課で査定のうえ、必要な財源を別途措置するものとする。
(1)NPOや企業等との協働により、市民サービスの維持、拡充、行政コストの削減等の効果が期待できる事業
(2)民間委託の推進などで、中長期的に鎌倉市の行財政にプラスの作用をもたらすことが期待できる事業


5 職員提案経費

職員提案制度により提案された事業のうち、審査の結果実施することとなった事業については、各部等への配当枠とは別に、行革推進課及び財政課において査定の上、必要な財源を別途措置する。

6 地球温暖化対策に寄与する事業の経費

既存施設、設備の維持管理において、電気、上下水、燃料等の使用量の圧縮を通じ、地球温暖化対策に寄与し、また中長期的に鎌倉市の行財政にもプラスの作用をもたらすことが期待できる事業については、各部等への配当枠とは別に、環境政策課及び財政課において査定の上、必要な財源を別途措置する。


7 施設の維持修繕、老朽化対策

平成19年度、20年度に引き続き、弾力的な財源配分を可能とするための、施設等の維持修繕料・施設修繕に係る工事請負費については経費の複数年度を視野にいれた予算配分を継続する。
なお、規定の維持修繕料等では対応ができない、多額の事業費を要する大規模修繕については、実施計画事業としての取扱いとなる点に留意すること。


8 特別会計予算

特別会計予算については、従前どおり個別査定を行う。予算要求にあたっては、特に、これまで以上に使用料、保険料等の市民負担の適正化を念頭に置き、財源確保に最大限の努力を行うこと。将来に向けた収支の健全化を重視し、一般会計からの繰入金の圧縮のため、あらゆる経費節減、合理化方策を検討すること。
なお、下水道事業特別会計については、公営企業としての自立した経営状況の実現を目指し、使用料や事業の見直しを積極的に進めること。


9 その他

予算編成の細部については、別途通知する「平成21年度予算編成要領」による。
ここで示している財政見通し等は、現時点での推計値に基づいていることから、制度改正や国・県の動向等により、今後大きく変動することも考えられる。その際は、この予算編成方針に必要な修正を加え、別途再調整のうえ対処するものとする。




お問い合わせ

所属課室:総務部財政課財政担当

鎌倉市御成町18-10 本庁舎2階

電話番号:0467-23-3000

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