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更新日:2014年2月18日

平成22年度予算編成方針

鎌倉市をとりまく状況


平成20年秋、アメリカ合衆国に発生した金融不安は、またたく間に世界規模の経済危機に発展し、戦後最大級とも言われる世界同時不況を引き起こしました。我が国におきましても、これ以前より弱含みを見せていた国内経済情勢がさらなる下降線へと向かい、昨年12月の月例経済報告におきましては、「企業収益は大幅に減少している」、「雇用情勢は急速に悪化しつつある」と、大幅な景気悪化を明確に認識した表現が記されるに至りました。そして今年8月の同報告におきましては、ようやく、景気に持ち直しの動きがみられるとの基調判断が示されたものの、企業収益、設備投資の大幅な減少や雇用情勢の急速な悪化という見方に変化が現れるには未だ至っていません。

第3次鎌倉市総合計画第2期基本計画中期実施計画中の財政計画におきましては、事業を実施するための財源の中枢を担う個人市民税につき、平成22年度以降は景気の持ち直しに伴い増加傾向となるとの見通しで作成されています。しかし、長引く不況の影響から、安定した税収の確保がままならぬ可能性も視野に入れ、市税の伸縮に応じた弾力的な行財政運営を念頭に置かなければならない状況下にあると言えます。

こうした中で政府は昨年10月、「生活者対策」「中小・小規模企業等企業活力向上、金融対策」などを柱とした経済対策をとりまとめ、その後に定額給付金事業等を含む補正予算としてこれらの対策が具体化されました。また、地方に対しては、4,000億円規模の基金創設により、雇用機会を創出する事業に対する補助事業である緊急雇用創出事業、地域の活性化に資するインフラ整備事業等に対して交付される総額6,000億円(うち市町村分3,500億円程度)の地域活性化・生活対策臨時交付金の創設など、地方自治体が策定する事業計画に対する積極的な財政出動が相次いで示されました。

しかし、これら経済対策の方針は「当面は景気対策、中期的には財政再建、中長期には改革による成長」と定められていることからも、こうした政策は、景気が一定の回復基調を見せるまでの一時的な財政的支援という位置付けにあるという点を認識しておかなければなりません。政府の財政制度等審議会も「景気回復を確認した後は、財政の持続可能性を回復すべく、厳格な財政規律を確保していくことが必要である」との考え方を示しており、地方自治体は国の一連の財政支援に依存した事業拡張路線に向かうことなく、これらの支援を原資として、持続可能な自律的自治体経営を行うための基礎体力を養うべき局面にいるということを自覚する必要があるのです。

限られた期間内に、国の施策を最大限に活用し、健全な財政運営を軌道に乗せることが喫緊に課せられた命題であるならば、まさに、地方自治体による自治体経営の手腕が大いに試される舞台が用意されたと見るべきでしょう。

一方、平成17年度には人口の約2割を占めていた65歳以上人口は、15年後には約3割に到達すると見られており、急速に進む少子高齢社会を支えるための福祉的経費の伸びが、国、地方自治体に共通した、構造的な危機として内在しています。本市におきましても、福祉関連事業特別会計への繰出金の大幅な増加が市の会計全体を圧迫しつつある現状に鑑み、これら伸び続ける福祉的経費の財源を、将来世代への負担として残すことなく、捻出する手法を確立する必要があります。本市の国民健康保険から支出される医療費等が、近年の実績平均で、単年度あたり8%近く増加している現状等を踏まえ、持続可能な保険制度を実現するための費用負担の在り方など、改めて検討を要する課題は少なくありません。

このように、現在、本市は非常に難しい財政環境の下に置かれていますが、経済状況、雇用情勢の悪化に伴い、市民の安心と安全を守りぬくため、行政に期待される役割はより一層大きくなっています。本市が実施してきた各種重要施策を、継続性を損なうことなく、引き続き実りあるものとしていくためには、慣例や先例にとらわれず、これまで以上の創意工夫と改善努力に根付いた行財政運営が求められます。職員一人ひとりが、我々が直面している課題を的確に認識した上で、予算編成作業を通して、限られた資源の最適配分実現のため、一丸となって取り組まなければなりません。


平成22年度の歳入、歳出見通しと財政目標


1 歳入について

歳入の中心となる市税は、前年度に比べ、予算ベースで約13.3億円の減収になる見込みであり、その主な要因は、長引く景気低迷による個人、法人市民税の大幅な減収です。
その他、配当割交付金、地方消費税交付金をはじめとした国からの譲与税、交付金の減収幅が大きく、平成22年度の経常的歳入は、前年度を約22.6億円下回り、約477億円という歳入規模を前提とした予算編成となります。
なお、これらは、現時点において景気が回復局面に移行しつつあることを念頭においた歳入見積りであることから、今後の景気動向等によっては、市税推計等をさらに下方修正せざるを得なくなる恐れがあるという点にご留意ください。


2 歳出について

歳出面におきましては、給与改定の効果等によって人件費に約0.8億円の減が見込まれる一方、例年、恒常的な増加傾向を示している扶助費が約4.1億円の増(過去の実績推移から6.3%程度の増)、また、主に国民健康保険特別会計における歳出超過を補うための繰出金の増により、特別会計繰出金が約6.3億円の増となっており、義務的経費の総額では9.4億円程度の増となる見通しです。
その他の経常的経費にも法令改正等に伴う、避け難い支出増などがあり、経常的歳出全体としましては、前年度を約10.9億円上回り、約491億円という歳出規模を見込んでいます。


3 財政目標

経常的経費におきましては、現時点において見込まれる歳出総額が歳入総額を約14億円上回っている状況であり、近年まれに見る規模で収支が悪化していることから、平成22年度は、今年度にスタートした中期実施計画を展開していくための必要最低限の財源の確保を当面の目標とし、起債や各種基金の活用などの財源対策を講じるものとします。
しかし、このような状況下にありながら、現在、各部等から提出されている実施計画事業の平成22年度要求額の総計は、ここに掲げる目標値をはるかに超えています。よって、既定の計画、事業を前提とした精査のみではとても埋めることができない差異が生じているため、今後、事業の優先度、熟度、緊急性、さらなる財源確保の可能性などを総合的に勘案し、これらの乖離を埋めていく作業が平成22年度予算編成の大きな課題となります。


平成22年度予算を編成するにあたっての基本的な考え


平成22年度の予算編成を行うにあたり、前述の財政環境・課題を充分に認識したうえで、さらに留意していただきたい事項は次のとおりです。


1 コスト意識をもった予算編成

コスト意識を持ち、先例にとらわれることなく、積極的に事業の見直しを進めてください。具体的には次のような視点を携えた予算編成を行ってください。
(1)必要性:行政が担う必然性があるか
(2)有効性:期待される効果を最大化できる手法が選択されているか
(3)効率性:投入される全ての行政資源に見合う成果が見込めるか
(4)優先性:上記観点を踏まえた上で、さらに他事業よりも緊急性が高いか


2 市民、企業等との協働を視野に入れた事業設計

今後の行政運営のあり方を考えた場合、市民、企業等と行政とが「協働」し、対等な立場で連携しながら「新しい公共空間」を創ることが求められていると言えます。単に行政の補完的な役割を期待しての「協働」ではなく、市民、企業等の独創性や英知を結集できる「協働」のあり方を念頭におき、既存の事業見直しや再構築を行ってください。


3 国、県の予算動向への注視と要望

国財政の健全化等を背景に、地方行財政改革が大きな変容の時期を迎えていることから、これまで以上に国、県の予算編成動向を注視し、的確な予算対応を図ってください。国、県からの財政支援が減少する事業につきましては、事業の見直しの好機と捉え、先例にとらわれることなく柔軟な思考をもって対応してください。
また、市民のためにどうしても継続しなければならない事業につきましても、国、県からの財政支援の減少分を市費で肩代わりすることを唯一無二の選択肢であると即断することなく、あらゆる機会を通じて国、県への要望を行い、必要な財源確保について積極的に行動してください。


4 適正負担に基づく市民サービスの充実

施設利用や各種行政サービスの提供に際して、受益者に応分の負担を求めることは、住民間の公平を図り、住民サービス総体の向上を図る重要な要素です。
一定の行政分野におきましては、「低負担」→「過剰消費」→「貴重な資源の浪費」という図式を生じさせないためにも、利用者に応分の負担を求めるべきであり、「市民が負担しなくて済むサービスがよいサービス」という固定観念を持たず、適正負担のあり方を検討した上での事業展開を行ってください。


5 新規事業に対する財源確保

新たに立ち上げる事業につきましては、費用対効果を充分に検討してください。特に、後年度のランニングコストに目を向け、健全な事業運営を可能とする事業設計を行ってください。また、新規事業に充てる経費につきましては、既存の事務事業の見直しによって捻出してください。


6 実態に即した予算要求

要求額の算定にあたりましては、執行(見込)額や事務量の増減につながる要因を考慮に入れ、多額の不用額や不足額を生じることがないよう注意してください。事業者から徴した見積金額のみに頼ることなく、見積りの条件、実施方法の妥当性などにつきましても充分に精査してください。


平成22年度予算編成における特記事項


1 予算要求にあたって

(1)政策的経費
政策的経費の要求につきましては、別途通知される平成22年度予算化予定事業の内示結果に基づいて行うものとします。

(2)経常的経費の所管別配当方式
平成22年度の経常的経費の予算要求にあたりましては、前年度に引き続き、所管別配当方式を採用するものとします。個々の施策と市民ニーズを熟知した事業担当部局が適切な事業選択を行い、事業の優先度や効果を見極めた予算編成を行うことに当方式のねらいがあるため、くれぐれもこの趣旨を踏まえた予算要求を行ってください。
配当枠内において行われた予算要求につきましては、前述の趣旨を踏まえた予算要求であることが確認できる範囲内において、基本的に各部等の判断を尊重しますが、全庁的な視点からバランスを欠く経費や、実現手法の適切度、期待できる効果の度合いが低いと考えられるものなど、再検討が必要と認められる経費につきましては、必要な修正を加えることとします。また、例年の実績から過大、過小と思われる経費等についても、同じく必要な見直しを加えます。
なお、現在の財政環境の下では、配当上限額を超えての要求を許容する財政的余裕はありませんので、配当枠内での予算要求を厳守していただきます。


2 予算配当枠の設定

厳しい財政環境下において、重点事業に充てる財源を確保するためには、起債や各種基金の活用などの財源対策に加え、予算配当枠の削減を実施しなければならない状況です。平成22年度予算におきましては、予算配当枠の設定に際して、前年度予算額のうち対象経費に対し、一律5%のシーリングを実施するものとします。


3 職員減員対応経費

平成22年度の職員の減員予定等につきましては、10月に行革推進課から各担当部局に示されることとなりますが、職員の減員に対応して必要となる委託料、システム開発費等につきましては、別途、行革推進課、職員課及び財政課において査定の上、必要な予算措置を行うものとします。


4 行革等対応経費

職員意識の向上、市民等との「協働」、中長期的な観点からの行財政改革に寄与する取組み等の積極的推進を図るため、次のような事業につきましては、行革推進課及び財政課で査定のうえ、必要な財源を別途措置するものとします。
(1)NPOや企業等との協働により、市民サービスの維持、拡充、行政コストの削減等の効果が期待できる事業
(2)民間委託の推進などで、中長期的に鎌倉市の行財政にプラスの作用をもたらすことが期待できる事業


5 職員提案経費

職員提案制度により提案された事業のうち、審査の結果実施することとなった事業につきましては、各部等への配当枠とは別に、行革推進課及び財政課において査定の上、必要な財源を別途措置します。


6 補助金

補助金の要求につきましては、ご提出いただきます補助金要求明細書を用いて、行革推進課及び財政課において査定を行います。


7 施設の維持修繕、老朽化対策

引き続き、弾力的な財源配分を可能とするための、施設等の維持修繕料・施設修繕に係る工事請負費につきましては、複数年度にまたがる配分枠を設定し、年度間の弾力的配分を可能とする予算措置を行います。なお、既定の維持修繕料等では対応ができない、多額の事業費を要する大規模修繕であり、かつ政策的判断に基づく修繕等であるものにつきましては、実施計画事業としての取扱いとなる点に留意してください。


8 特別会計予算

特別会計予算につきましても、原則として、一般会計に準じた積算方法により要求限度額を示します。ただし、予算要求にあたりましては、特に、これまで以上に使用料、保険料等の市民負担の適正化を念頭に置き、財源確保に最大限の努力を行ってください。将来に向けた収支の健全化を重視し、一般会計からの繰入金に過度に依存することがないよう、あらゆる経費節減、合理化方策を検討してください。
なお、下水道事業特別会計につきましては、公営企業としての自立した経営状況の実現を目指し、使用料や事業の見直しを積極的に進めてください。


9 その他

ここで示しています財政見通し等につきましては、現時点での推計値に基づいて算定されていますので、制度改正や国、県の動向等により、今後大きく変動することも考えられます。その際には、この予算編成方針に必要な修正を加え、別途再調整のうえ対処するものとしますのでご留意ください。



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