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更新日:2025年2月18日
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第25号/平成15年3月31日指定
湯浅物産館は、明治30年(1897)に貝細工の製造加工・卸売りの店舗として創業しました。
横浜の貿易商社を模したという外観は、木造の建物の前に装飾を施した「看板建築」と呼ばれるものです。
道路に広く開放された店舗空間、店舗中央に設けられたトップライトなど建物内部も大変特徴的な建物です。
雪ノ下一丁目
湯浅物産館は、昭和11年11月に建てられたもので、この建築時期は、棟札の存在により確認することができる。
創建後、部分的な改修があるものの基本的には創建当初の姿がとどめられている。
なお、平成26年1月から3月末まで大規模改修を行い、耐震改修工事ならびに内装のリニューアル工事が行われた。
湯浅物産館は、現在は複合商業施設(6店舗)となっているが、当初は貝細工の製造加工・卸売りを行っていた。
「物産貝細工製造卸湯浅商店」と右から左に掲げられた当時の文字版(一部複製)が現在もファサードに残されている。
湯浅物産館は、間口6間、奥行11.5間の二階建ての大規模な建物で、若宮大路沿いの戦前の創建になる商店建築としては最大の規模のもの。
また、規模だけではなく、意匠の質も高く、鎌倉の看板建築を代表する存在ということができる。
建物の最大の特徴は、そのファサードにあり、全面がスクラッチタイル張りで、2階部分には半円形のファンライトを備えた6連の上げ下げ窓が並んでいる。
背後の和風の建物の存在を少しもうかがわせないほぼ完全な洋風の意匠であり、まさに看板建築の優品ということができる。
二つ目の特徴は、店舗建築には珍しいプランのほぼ中央にある吹き抜け空間の存在。
これは2間×1.5間の平面で頂部はトップライト、2階では吹き抜け部分に手摺りがめぐり、その周囲は広い板張り縁となっており、旅館建築のような雰囲気を醸し出している。
これは、主として1階の広い店舗の奥の部分の採光のためと思われるが、かつては1階のこの部分に帳場が設けられており、2階には全国から買い付けに来た小売商人がたくさん滞在することもあったようで、1・2階の連絡の便宜のためでもあったかもしれない。
三つ目の特徴は、1階の大部分を占める店舗部分。
これは4本の柱があるのみの広い一室空間であり、天井が全面、華麗な文様をもつ鉄板で覆われている。
大規模改修工事により耐震補強のための袖壁等が増設されたが、当初の雰囲気を色濃くとどめている。