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更新日:2025年1月31日
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青少年課 内線2464
市青少年指導員連絡協議会と市の共催で、市内の中学生を対象に作文を募集しました。399点の作文が寄せられ、選考の結果、16人が入賞しました(左表)。その中から、市長賞を受賞した坪井彩紀さん(御成中学校)の作文を紹介します。
御成中学校 2年 坪井彩紀
まただ。こんな場面、こんな流れ、こんな会話、ついこの間もあったような気がする。「今度、あの角の家で工事が始まるみたいだよ。」「家の建て替えかな。」そんなふうに家族で話してから数週間たった後、「この間工事が始まった場所ってコインパーキングになるらしいよ…」「な~んだ、また駐車場になるのか…」としらけた雰囲気。
私は小学校1年生のときに祖母が住んでいた鎌倉の家に引っ越してきた。祖母の家や近所に古い木造の家が多かったので、鎌倉ってなんだか古いかんじの街だなと思った記憶がある。実際は古い建物だけではなかったが、古い建物と新しい建物のバランスがよくとれていたのかもしれない。神社やお寺などが古い家々に囲まれていて、その家々が長い年月をかけて少しずつ新しい建物に置き換わってきているようなかんじなのだ。極端に言えば、鎌倉時代ぐらいの昔から2014年がずっとつながっているように思える景色が鎌倉の魅力だと思う。こんな鎌倉の街は、短い年月でできたものではない。住んでいる人たちが古い建物を大切に維持して、緑を大切にして、そうしてできた街並みが住む人を穏やかな気持ちにしてくれて、住んでいる人がさらに古い建物を大切にして…という生活が長い間ずっと何百年も繰り返してできてきたものだと思う。
しかし、この頃気になることがある。私が鎌倉に住み始めてから、この夏でちょうど7年がたつ。その間、近所で古い建物が壊されてコインパーキングになったところは7箇所。ほんの近所だけで約120台だ。たった7年の間にそれだけの車が駐車できるようになって、これまで車で鎌倉に来ることを諦めていた人たちが諦めなくてよくなった。ただ、それが鎌倉の交通渋滞や排気ガスの増加につながることも確かなことだ。
小学校の頃、暗くなった帰り道からはいろいろなところから夕ご飯のにおいがしてきて、歩いている私を街が見守ってくれているような気がした。でも、コインパーキングからは生活のにおいがしてこない。冬の部活の帰りにしーんとした駐車場の横をいくつも通って帰るのは、むしろ怖いくらいだ。私のまわりの街並みはよそよそしくなってしまった気がする。
住んでいる人と街並みがお互いに良い効果を与えて作られてきた鎌倉の街。何百年もの繰り返しは自然なサイクルに思われるかもしれないが、これまでも目に見えないところで住んでいる人がいろいろな努力をしてきたおかげだと思う。現在が何百年も昔とつながっているように感じる街並み、住む人を穏やかな気持ちにしてくれる街並み―そんな鎌倉の魅力を保つには、これから先、私たちは今まで以上の努力が必要だと思う。
(原文のとおり)
坪井 彩紀 御成中学校・2年
蚊帳 真実 鎌倉女学院中学校・1年
宮川かれん 第一中学校・3年
秘書広報課 電話 内線2505