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更新日:2024年3月6日

広報かまくら平成27年度3月15日号8面

市指定文化財 新たに5件を指定

市では市内の文化財のうち、歴史的・芸術的に価値が特に高いものを市指定文化財にしています。このたび、新たに5件を指定しましたので紹介します。これにより、市指定文化財は315件となりました。

建造物 木造 妙本寺祖師堂(みょうほんじそしどう) 一棟

妙本寺は、日蓮の弟子の日朗(にちろう)(日蓮聖人という説もあり)が開いた寺院です。境内の最も奥に建つのが祖師堂で、堂内中央正面には日蓮坐像(市指定文化財)、向かって右に日朗、左に弟子の日輪(にちりん)の像が祭られています。

天保9(1838)年に妙本寺第47世日教(にっきょう)・第48世日萬(にちまん)により建てられたことや、大工の名前が棟札(むなふだ)で判明しています。

建長寺法堂・鶴岡八幡宮上宮(いずれも国指定重要文化財)、光明寺山門(県指定重要文化財)とともに鎌倉地方の幕末社寺建築を代表する建造物であり、建設の年代や大工の名前が判明している点も重要です。

建設年代は江戸時代の天保9(1838)年

構造と形式は桁行五間、梁行六間 入母屋造り桟瓦葺、正面一間向拝付 妙本寺蔵

絵画 紙本著色 日蓮聖人註画讃(しほんちゃくしょく にちれんしょうにんちゅうがさん) 一巻

日蓮の誕生から亡くなるまでの重要な事柄を描いた伝記絵巻です。複数あり、京都・本圀寺(ほんこくじ)などにも伝わっていますが、安国論寺に伝わるものは、日蓮が鎌倉で行った事のみを抜粋して取り上げた一巻です。

本圀寺本が伝統的な大和絵の様式であるのに対し、安国論寺本は古拙(こせつ)な趣を呈しているところが特徴のため、京都ではなく東国・鎌倉で、桃山時代を含む室町時代後期に制作されたと考えられる貴重なものです。

制作年代は室町時代(16世紀)

縦34・7cm、横1121・9cm 安国論寺蔵

工芸 銅骨蔵器(どうこつぞうき) 一口、金銅宝塔(こんどうほうとう) 一基、金銅五輪塔(こんどうごりんとう) 二基

極楽寺切通沿いの西方寺址(さいほうじあと)にある石塔群が、大正12(1923)年の関東大震災で倒れた際の復旧作業中に発見されました。

銅骨蔵器には「極楽寺第七長老 明賢(みょうけん)大徳遺骨 貞治七年戊申(つちのえさる)三月十五日」と銘文が記されていることから、貞治7(1368)年に亡くなった極楽寺第7世長老明賢大徳の骨蔵器であることが分かる、極めて資料的な価値が高いものです。

他の3基については銘文が記されていませんが、作風から制作年代は鎌倉時代末期から南北朝時代と考えられます。市内発見の金属製骨蔵器は非常に少ないため、いずれも貴重なものです。

制作年代は銅骨蔵器=南北朝時代の貞治7(1368)年、金銅宝塔・金銅五輪塔=鎌倉時代末期~南北朝時代

高さは銅骨蔵器=19.0cm、金銅宝塔=22.2cm、金銅五輪塔=16.8cm・20.9cm 個人蔵

彫刻 木造 伝釈迦如来坐像(でんしゃかにょらいざぞう) 一く

円覚寺塔頭(たっちゅう)の正伝庵(しょうでんあん)の本尊です。本像のように、衣の袖や裾を台座に掛けて長く垂らす「法衣垂下(ほうえすいか)」の形式は、中国の仏画を源流とし、鎌倉時代末期以降、鎌倉地方を中心に東国の禅宗寺院で流行しました。

制作は南北朝時代の比較的早い時期にまでさかのぼります。長谷の万寿寺から移転したとされる正伝庵に伝来したものだとすれば、同庵が移転した文和3(1354)年前後の作とも想定できます。

鎌倉地方の典型的な作風を示す貴重なものです。

正伝庵は内部非公開のため、本像の拝観はできません

制作年代は南北朝時代 高さは30・5cm 正伝庵蔵

考古資料 北条時房(ほうじょうときふさ)・顕時(あきとき)邸跡 出土の木製仏像(木造 不動明王立像) 一点

鶴岡八幡宮に近い埋蔵文化財包蔵地「北条時房・顕時邸跡」で平成22(2010)年に発掘調査が行われた際、鎌倉時代中期の13世紀中ごろから後半の生活面で出土しました。

ヒノキ材を彫り出して作られた小型の不動明王立像で、額の水波相、目の輪郭、瞳、下唇を墨で描き、上唇のみ赤色の彩色が残っています。本来は、背面と像底に残った小穴に光背(こうはい)と台座を差し込んでいたようです。素朴な作りで、専門の仏師というより、素人が作ったものと考えられます。

本資料は武士が個人的信仰のために作成して所持していたと想定され、鎌倉武士の私的な仏教信仰の姿を示す貴重なものです。

制作年代は鎌倉時代 高さは16.5cm 鎌倉市蔵

4月1日からから史跡永福寺(ようふくじ)跡の公開範囲を拡大します

【開場時間】4~10月 9時00分~17時00分(11~3月は16時30分まで)

復元された建物の基礎や池跡を近くでご覧になれます。ぜひお越しください。

お問い合わせ

所属課室:共生共創部広報課広報担当

鎌倉市御成町18-10 本庁舎2階

電話番号:0467-61-3867

メール:koho@city.kamakura.kanagawa.jp

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