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更新日:2018年3月1日

 1.現況と課題

1)エネルギー消費(二酸化炭素排出量)の状況

環境問題の中でも最大の課題は、地球の温暖化です。地球温暖化の主要な原因として、環境容量を超えた二酸化炭素の排出があげられます。

本市における二酸化炭素の排出量は、年間一人当たり炭素換算で1.72tC/年と推定され、全国平均2.57tC/年に対して30%以上少ないものの、アジア各国に比べると4倍もの値となっています。(この値は、市内で直接使用されたエネルギーと廃棄物の焼却に伴う直接排出量を指します。消費される物品や製造、流通時に消費される間接排出量は含みません。また、本市が全国平均値を下回る要因として、市内に鉄鋼・紙パルプなどの大規模な製造工場がないことがあげられます。)

本市の二酸化炭素排出量の主な要因は、エネルギー消費によるもので、例えば電力消費量で見ると平成3年に急激に伸び、その後横ばい状態となりますが、近年ではまた増加傾向にあります。(平成6年度鎌倉市環境基本計画策定基礎調査及び平成7年度鎌倉市環境基本計画)

このため、効率的なエネルギーインフラの整備や省エネの推進と既存エネルギーの有効活用などエネルギー供給に関わるシステムや消費形態の改善が求められています。

また、水資源の有効活用によるエネルギー消費の軽減も求められています。

表 鎌倉市の二酸化炭素年間直接排出量推定結果
(1992年(平成4年))

部門
産業
民政
運輸
廃棄物
合計
項目
家庭
業務

部門別排出量

千tC 

149
58
28
49
16
299

部門別割合

% 

49.70
19.33
9.21
16.35
5.42
100

総人口

人 

         
173,492

1人当たり排出量

tC 

0.86
0.33
0.16
0.28
0.09
1.72
全国値(1990年) 
1.32
0.33
0.29
0.51
0.11
2.57
環境基本計画策定基礎調査1995年(平成7年)3月

鎌倉市の1人当たりの二酸化炭素排出量はアジア各国の4倍

鎌倉市の1人当たりの二酸化炭素排出量の図
アジア地域25か国の1人当たりの二酸化炭素排出量平均の図
鎌倉市1992年(平成4年)推計
アジア地域25か国の平均
1987年(昭和62年)推計
出典:鎌倉市環境基本計画

 

2)大気及び騒音の状況

(1)大気汚染

県大気測定局並びに自動車排出ガス測定局の常時監視で見ると、二酸化窒素濃度及び浮遊粒子状物質濃度は、環境基準を満たしていますが、国道134号に関しては高い濃度で推移しています。

市内の主要交差点10地点での自動車排出ガス等の調査(年6回実施)では、近年、鎌倉女子大前、長谷観音前、手広交差点における濃度が高い数値を示しています。(平成8年度鎌倉環境白書及び平成8年度環境調査)

このため、自動車排出ガスの削減をはじめとした総合的な大気環境への負荷の軽減が求められています。また、アンケート調査では自動車排出ガスが何らかの形で「におう」としている人が過半数を占めています。(鎌倉市かおり環境都市モデル事業に係る現況調査)

表 二酸化窒素濃度(日平均値の98%値)経年変化

二酸化窒素濃度経年変化の表 

表 浮遊粒子状物質濃度(日平均値の98%値)経年変化

 浮遊粒子状物質濃度経年変化の表
出典:かまくら環境白書(平成8年度)

(2)騒音

主要道路沿道の自動車騒音で、平成7年度調査地点7点中、環境基準を満足した地点はなく、傾向としては、ほぼ横ばい状況にあります。(平成8年度かまくら環境白書)

市民からの公害苦情件数は昭和60年頃から減少傾向にあります。平成8年度の苦情件数は11件で、そのうち5件が騒音に関するものでしたが、発生源のほとんどは、工事現場等からの騒音です。

しかしながら、多くの市民に関わりがある主要道路での自動車騒音の軽減は、快適な市民生活を送る上で重要であり、これへの対応が求められています。

3)水環境の状況

(1)水質

柏尾川流域では水質汚濁が見られますが、下水道の普及などにより水質は改善傾向にあります。

滑川や神戸川は、国の定めた環境基準(BOD10mg/l)を満足しています。(平成8年度かまくら環境白書)河川の汚濁は、工場などから排出される工場排水と一般家庭から排出される生活系排水に起因しています。

本市では、工場自体が少なく、法律等により厳しく制限されている工場排水よりも生活系排水が大きな汚濁原因として問題となっています。特に、下水道未整備地域において、公共水域の汚濁の主な原因となっています。

このため、河川の水質維持・回復へ向けた総合的な取り組みの推進が求められています。

(2)湧水(地下水)の状況

市内には、現在でも使用されている井戸が幾つかあります。これらの井戸の多くは、「上総堀り」と呼ばれる工法により掘られたもので、特に北鎌倉周辺から岩瀬、今泉、大船方面にかけて数多く残されています。

このような井戸のほとんどは、明治から昭和30年末頃までに掘られたもので、周辺に山林等の良好な自然環境が残されていることが、現在でも良好な水質を保っている要因と考えられます。

しかしながら、近年では、田畑や山林の減少、市街地の舗装化などに伴い、地下水の涵養能力は低下していると思われます。

井戸水は、災害時の貴重な水源としても重要であり、市内で「災害時井戸水供給協力者」として指定されている井戸は、平成8年度で68件となっています。

このため、井戸水の水質維持・回復へ向けた総合的な取り組みの推進、良好な水循環の維持・回復が求められています。

甘露の井の写真

図 災害時井戸水供給協力者の分布

災害時井戸水供給協力者の分布の図

出典:新・鎌倉市地域防災計画(地震災害対策編平成8年度) 

(3)上下水道の状況

<1>下水道の状況

鎌倉、腰越地域の汚水は、七里ガ浜水質浄化センターで、深沢、大船、玉縄地域の汚水は、山崎水質浄化センターで処理しています。

下水道普及率は、59.26%(平成9年5月1日現在)で、平成14年までには、市街化区域内全ての下水道の供用開始を予定しています。

河川、海等の水質向上の点からも整備の推進が求められています。

<2>上水道の状況

水道水源は、90%以上を相模川水系に、他を酒匂川水系に依存しており、市内での普及率は、99.9%となっています。

一人当たりの上水使用量は微増傾向にあります。使途として最も多いのは家庭での利用で全体の約80%程度を占めています。(平成8年版鎌倉の統計)

今後は、水源地への負荷軽減も含め、水資源の適切な利用が求められています。

表 上水使用量の推移

単位:m3
年度
家事用
営業用
公共用
工業用
その他
合計
平成2 
18,086,813 
3,804,802 
1,128,839 
1,646,419 
238,347 
24,905,220 
18,242,481 
3,797,107 
1,134,623 
1,589,650 
225,214 
24,989,075 
18,428,084 
3,728,104 
1,177,416 
1,469,841 
237,779 
25,041,224 
18,357,096 
3,707,167 
1,122,239 
1,167,030 
175,635 
24,529,167 
18,433,838 
3,713,489 
988,874 
1,129,238 
190,316 
24,455,755 
18,421,110 
3,762,646 
953,983 
1,083,067 
195,460 
24,416,266 
資料:鎌倉の統計平成8年版(県企業庁水道局鎌倉営業所)

表 給水戸数・人口及び給水普及状況

年度別
給水戸数
(戸)
給水人口
(人)
給水量
(m3
普及率
(人口比:%)
平成4年度 
66,726 
172,407 
26,082,239 
99.9
5年度 
68,036 
171,757 
25,540,168 
99.9
6年度 
68,956 
170,587 
25,432,683 
99.9
7年度 
69,434 
168,831 
25,304,632 
99.9
資料:鎌倉の統計平成8年版(県企業庁水道局鎌倉営業所)

4)ごみ排出量及びリサイクルの状況

一般ごみ排出量は、近年では横ばい傾向ですが、平成9年4月より資源集団回収を実施し可燃ごみ収集量は減少傾向(4~6月対前年比20%減)にあります。

平成9年7月からは、従来の3区分(可燃・不燃・粗大ごみ)の他に、資源物と危険・有害ごみの区分を加え再生利用に向けた分別収集を実施しています。また、植木剪定材は堆肥化事業場にて、堆肥として土に帰すなど、ごみ半減都市達成に向け減量化・資源化を推進しています。

しかしながら、産業廃棄物の最終処分場がなく、その処理は全て他都市に依存している状況にあります。また、年間約2000万人もの観光客が訪れる本市では、産業経済のうるおいの反面、ごみの排出量の増加という負の面もあります。

このため、生活者や来訪者による一般廃棄物や産業活動による産業廃棄物の発生を極力抑制するとともに、ごみのリサイクルシステムの確立、資源としての再利用や適切な処理施設の整備など、環境への負荷の少ない資源循環に向けた取り組みが求められています。

表 ごみ減量化・資源化量の推移

単位:トン
年度
2
3
4
5
6
7
総排出量 A=B+a 
76,226 
81,440 
80,680 
80,116 
81,365 
84,798 
86,789 
搬入量 B 
74,590 
76,717 
75,220 
74,279 
73,771 
75,255 
74,589 
焼却量 D=B-b 
71,308 
72,621 
69,955 
67,721 
67,942 
69,461 
69,244 
資源化量 C 
5,171 
9,049 
10,922 
12,653 
13,677 
15,534 
17,837 
排出源処理量a 
1,636 
4,723 
5,460 
5,837 
7,594 
9,543 
12,200 
中間処理量 b 
3,282 
4,096 
5,265 
6,558 
5,829 
5,769 
5,345 
最終処分量 c 
253 
230 
197 
258 
254 
224 
292 
資源化率 C/A 
6.8% 
11.1% 
13.5% 
15.8% 
16.8% 
18.3% 
20.6% 
出典:かまくら環境白書(平成8年度)  

お問い合わせ

所属課室:まちづくり計画部都市計画課都市計画担当

鎌倉市御成町18-10 本庁舎3階

電話番号:0467-61-3408(直通)

ファクス番号:0467-23-6939

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