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更新日:2024年3月4日

広報かまくら令和3年度3月1日号6-7面

 鎌倉殿通信

第7回 鎌倉殿を支えた13人の宿老たち

皆さんもご存じのとおり、大河ドラマの題名は「鎌倉殿の13人」ですね。今回は、この由来を少し掘り下げてみます。「鎌倉殿」については、連載第一回でご紹介しましたが、ではこの13人とは、誰のことだと思いますか?

建久(けんきゅう)十年(一一九九)一月、源頼朝が急死し、息子・頼家が一八歳で鎌倉殿を継承します。その三カ月後の四月一二日、若い鎌倉殿を支えるため、宿老(しゅくろう)一三人による合議体制が敷かれました。この体制を「一三人の合議制」といい、ここで選ばれた一三人が、「鎌倉殿の13人」の由来になっています。

「一三人の合議制」については、近年の研究で、その評価が大きく変わっています。

従来は、蹴鞠(けまり)や狩猟に興じて、失政を重ねる暗君(あんくん)・頼家の親裁(しんさい)(自ら裁決を下すこと)を否定し、宿老たちの合議で訴訟を取り計らうようにしたものだと解釈されてきました。しかし現在は、頼家の親裁を停止したものではなく、頼家への取り次ぎをこの一三人に限るという制度であり、若い頼家の政治を支えるための体制強化であったと考えられるようになっています。

また同年には梶原景時(かげとき)が没落し、翌年には三浦義澄(よしずみ)と安達盛長(もりなが)も相次いで亡くなっていることや、合議を行った形跡がないことから、一三人が実際に集まって合議をした事実はなかったと考えられています。さらに頼家自身についても、『吾妻鏡(あずまかがみ)』の中で、実態以上に「暗君」として書かれている可能性があり、解釈の再検討が進められています。

さて、一三人には北条時政や義時をはじめ、大江広元(おおえのひろもと)・三善康信(みよしやすのぶ)・中原親能(ちかよし)・三浦義澄・八田知家(はったともいえ)・和田義盛・比企能員(よしかず)・安達盛長・足立遠元(とおもと)・梶原景時・二階堂行政(ゆきまさ)など、頼朝以来の宿老たちが選ばれました。彼らは鎌倉幕府の重臣ですから、全員が武士だというイメージがあるかもしれません。でも実は一三人のうち、大江広元・中原親能・三善康信・二階堂行政の四人は、京都から下ってきた下級貴族なのです。多くは文筆に長けた人物で、京都の朝廷で実務を身に付け、高い行政能力を持ち、「文士」と呼ばれています。また彼らの強みは京都とのコネクションです。鎌倉幕府も武力だけで政権を確立することはできません。組織を整えたり、朝廷との高度な交渉を行ったりする必要があります。そのときに活躍したのが文士たちでした。鎌倉幕府が永く続いていくために、文士は不可欠な存在でした。今後はぜひ、文士たちの活躍にも注目してみてください。

【鎌倉歴史文化交流館学芸員・大澤泉】

(注)同館では、企画展「北条氏展vol・1 伊豆から鎌倉へ~北条氏の軌跡をたどる」を開催中(3月26日まで)

(注)鎌倉殿通信-note版-は、鎌倉市教育委員会noteでご覧いただけます( 外部サイトへリンク )

進メ、鎌倉ペンギン

「Society5.0」の時代をしなやかに泳ぐ子どもたちを育む

鎌倉市教育委員会

第7回 教育現場での多様な人材の活躍を目指して ~Teach For Japanとの連携

皆さんは、日本に学校の先生は何人いると思いますか。小・中・高校だけで、なんと100万人を超えます。幼稚園や大学なども合わせると、200万人以上。日本人の60人に一人は、何らかの形で「学校の先生」ということになります。

ますます変化が激しくなるこれからの時代は、社会と連携・協働しながら未来の創り手を育む学校教育を作っていく重要性も増していきます。そんな中で、果たしてこの100万人の先生方を「教職を目指す→大学で教員養成課程を修了する→採用試験に応募して教員になる→退職まで勤める」という単線的なキャリアのみで確保していくことは適切でしょうか。

現に、全国の都道府県では、教職員の採用倍率の減少が著しく、教職員の確保が困難となっている自治体も多くあります。また、教員養成大学の講師からは、学生が卒業時に民間と教職で迷った上、「将来、教職の道に入るにしても、まずは広く社会を知りたい」と考え、免許を取っても卒業後、教師にならないケースが増えていると聞きます。

教育に情熱を持った優秀な人が、民間企業に勤める前に教育現場で活躍・社会貢献したり、逆に民間で働いた経験のある人がその力を携えて教育現場に参画する──そのように、多様なプロセスで教師へ入職できる形があってもよいのではないでしょうか。また、そうすることで教育現場がさらに活性化していくことが期待できます。

こんな思いから、市では、独自に選考・研修を行った人を教師として派遣する認定NPO法人「Teach For Japan(TFJ)」と連携し、情熱ある人材を学校現場に受け入れています。教員の経験は短くとも、それぞれの熱意と経験・能力を生かして活躍しています。

これからも、さまざまな経験や能力を持った人たちが学校教育に参画し、子どもたちに魅力的な教育活動を届けることができるよう、取り組んでいきます。

【教育長・岩岡寛人】

市立小・中学校で、社会に開かれた学校教育を実現するため、皆さんからの寄附をお待ちしています。

詳細・お申し込みはウェブか、ふるさと寄附金担当(電話61-3845)へ

【第2弾】3月31日まで延長!

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鎌倉市御成町18-10 本庁舎2階

電話番号:0467-61-3867

メール:koho@city.kamakura.kanagawa.jp

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