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ページ番号:33490
更新日:2024年9月2日
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(くわしくは広報かまくらPDF版(PDF:3,956KB)をご覧いただくかお問い合わせください)
警防救急課 電話44-0977
実際に、現場に居合わせて救命処置をする「バイスタンダー」になった人の話を紹介します。
昨年、市内中学校の部活動中に突然、顧問教諭が心肺停止となりました。その場にいた生徒たちが迅速・的確な救命活動を行ったため、救急隊が到着する前に教諭の心拍は再開しました。この教諭は、1カ月後に社会復帰しています。当時の様子を生徒のひとりに伺いました。
小野蒼平さんは当時中学2年生。顧問の教諭が突然倒れたのは、体育館でバスケットボールの練習をしているときでした。「大丈夫ですか⁉」の呼び掛けに反応はありません。授業で救命講習を受けたばかりの3年生はAEDを取りに走り、他の部員たちは119番通報をしに職員室へ飛び出し、また、救急隊が搬送しやすいようボールを片付けたりするなど出入り口を確保。小野さんは救急隊を待つ間、3年生と一緒に心臓マッサージと人工呼吸を施しました。
小野さんは、「先生が倒れたとき、先生の家族が頭に浮かんだんです。迷わず『やんなきゃいけない』と思いました。救命処置の知識もなく、どこかで見た記憶だけでとにかくやってみました。まもなく先輩がAEDを持ってきたので開けると自動的に電源が入り、あとは音声ガイドや表示されている案内に従って操作するだけでした。119番の人と電話で話しながらやったので、落ち着いてできました」と当時を振り返ります。
生徒たちの救命処置のおかげで、救急隊が到着したときには教諭の心拍は再開し、病院で意識が戻りました。生徒たちはそれを聞くと、歓声を上げたそうです。教諭は「生徒たちから与えられた命。今度は私から教育現場で返していきます」と語ります。
この日は連休中で、倒れた教諭以外に大人はおらず、他に活動している部活もありませんでした。職員室は施錠されて電話は使えず、生徒たちは外へ駆け出し、たまたま通りを歩いていた人に携帯電話を借りて、119番通報をしたそうです。また、3年生は、この2カ月前に授業で救命処置を習ったばかりでした。内容は、「傷病者」「119番通報をする人」「救命処置をする人」と役割を与えたロールプレイでした。この学習が役立ったのです。しかも、期末テストでは「学校のどこにAEDはある?」の問いが出題されていました。
今回のケースは生徒たちの機転だけでなく、いくつかの偶然が重なり、命をつなぐことができたのです。
傷病者を救命し、社会復帰させるために必要となる一連の行動と処置「救命の連鎖」を表したものです。
「バイスタンダー」は、救命のための重要な役割を担っています。
バイスタンダーによる早急な処置が、心肺停止した人の社会復帰に大きく関わっていることが分かります。
「救急蘇生法の指針2020(市民用)」から引用し、一部改変
学生たちの熱演をご覧ください。
学校で突然苦しみだした友だちを、先生と助ける友情物語。このほかに、「誤飲・窒息編」「熱中症編」あり。
3本の動画にある出来事は、どれも普段の生活の中で起こる可能性があると実感しました。少しでも多くの方にこのことを知っていただけたら、うれしいです。
バスケットボールが胸に当たり、その衝撃で心停止した部員を、仲間たちが助ける、淡い恋のストーリー。
誰にでも起こり得る状況を分かりやすく表現できたのではないかと思います。
AEDの使い方、人が倒れてしまったときの対応などを気軽に観てもらえたらいいなと思い作成しました。
市では、次の救命講習を実施し、市民の皆さんの協力を得ることで、救命率の向上に取り組んでいます。
(注)新型コロナウイルス対策のため、中止している講習があります
7月に行われた講習の内容を紹介します。
応急手当WEB講習を受ける。
事前に受けたWEB講習の復習と実技を行います
対象は、市内在住・在勤・在学の中学生以上の人。先着8人。
毎月1回程度実施しています。開催のお知らせは本紙で
突然の傷病者発生―。誰もがパニックになると思いますが、講習を受ければ対処の仕方が分かります。
新型コロナウイルスの影響などでガイドラインが変更されていますので、過去に受講された方も、定期的な受講をお勧めします。
(注)このほか団体や個人が任意で配備している場合もあります
119番通報では、傷病者の状態を確認し、バイスタンダーとなった皆さんができることを電話で指導します。救急隊が到着するまでの間、「救命の連鎖」にご協力ください。
市では、音声ガイドに加え、一部機種では液晶画面に操作方法を表示し、耳が不自由または難聴の人でも使用できるAEDを導入しています。また、昨年12月には全救急隊(8隊)に、自動で心臓マッサージと人工呼吸を行う自動心肺蘇生器を配備しました。これにより、狭い場所や階段などの傾斜地でも救命処置を中断することなく、搬送できるようになりました。
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