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更新日:2021年4月5日

鎌倉地域交通計画研究会

TDM施策検討の背景

鎌倉市におけるTDM(交通需要管理=Transportation Demand Management、以下「TDM」という。)施策は、年間観光客数約1,782万人(平成14年)のうち、9割以上が訪れる鎌倉地域において、その導入が検討されるています。

鎌倉地域は、1,192年、源頼朝によって開かれた武家政治発祥の地であり、南に相模湾、他の三方を丘陵によって囲まれた独特の地形は、中世の時代、外敵の侵攻を防ぐ自然の要害として利用され、まちそのものが鎌倉城とも称されていました。

この頃の道路網は、京都の朱雀大路をなぞらえて造成された若宮大路が、地域の中心を南北約1kmにわたって縦断し、その北端に位置する鶴岡八幡宮を起点として放射状に広がる形態となっていました。

また、放射状に広がった道路の先には、丘陵を削り取って造られた「切通し」と呼ばれる内外交通の要所があり、この切通しは7箇所に限定されるとともに、城塞都市鎌倉の砦ともなっていました。

このような都市構造は、鎌倉幕府成立から800余年が経過した平成の時代においても、大きな変貌を遂げぬままに残されており、加えて、新たな道路の建設や既存道路の拡幅は、歴史的遺産や自然環境の保全という観点からも、なかなか実現できず、交通混雑の抜本的な解決策である道路整備は、長期的展望のもとに進めていかざるを得ない状況となっています。

しかしながら、観光を主体とする目的交通と通過交通とが相俟って引き起こされる鎌倉地域の交通渋滞は、時に路線バスの予定運行時間を8倍以上にさせるなど、市民生活にとって極めて深刻な状況を引き起こしています。

そこで市は、長期的な視点で対応せざるを得ない道路整備と並行し、短期的かつ即効的な問題の解決策として、TDMという手法を用いた交通計画の策定に着手したものです。

画像:中世の鎌倉地域

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画像:平成の鎌倉地域

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中世の鎌倉地域(資料:国立歴史民俗博物館)

平成の鎌倉地域

鎌倉地域交通計画研究会

 TDMとは、自動車利用をコントロールすることであり、全てのドライバーに必ずしもメリットが生じるとは限りません。こうした中で、行政が計画を策定し、自動車を利用する市民や観光客に同意を求めるという方法では、計画が遅々として進まないことが予想されました。

そこで市は、市民が主体となって積極的に計画策定を行なっていただく手法を考え、平成7年7月、鎌倉地域交通計画研究会(以下「研究会」という。)を設置し、計画(案)の策定を依頼しました。

研究会には、市民公募、自治会、商店会、寺社、事業者、関係行政機関、学識経験者等様々な分野からの委員40名(発足当初38名)を任命し、行政は事務局及び幹事という立場で計画(案)策定のサポートを行うこととしました。 

画像:研究会メンバー

研究会の取り組み

研究会は、発足当初から委員間で活発な意見交換が行なわれ、時には深夜にまで議論が行なわれることもありました。こうした活動は、約10ヶ月間にわたって続けられ、様々なアイディアが出された結果、延べ15回の会議(うち10回は専門部会~3部会設置以前の部会)を経て、鎌倉地域の交通環境改善に向けた、TDMを主体とする「20の施策」や市民自らが自動車利用を自粛しようとする「市民宣言(案)」を盛り込んだ「鎌倉地域の地区交通計画に関する提言(以下「提言」という。)」が完成し、市は、この提言を受けてTDM施策導入の実現に向けた検討を行うこととしました。

なお、この提言によって、研究会の設立目的であった地区交通計画(案)の作成は終了し、研究会の役割も一応終結しましたが、研究会の提言には、TDM施策の実現に向けた取り組み方について「市民主体」が原則であると示されていることから、市は今後も市民主体の研究会と協働して、施策の実変を推し進めることが望ましいと判断し、研究会メンバーの了承を得た上で二人三脚による取り組みを継続することとしました。

この後、研究会は、TDM施策の本格実施を目標として実施された平成8年11月の「七里ガ浜パーク&レールライド社会実験」、平成10年5月の「公共交通乗り継ぎシステム社会実験(鎌倉フリー環境手形)」、平成13年11の「鎌倉地域交通円滑化総合実験」などについて、実験計画の企画立案や施策の評価に携わるとともに、自動車を抑制するという考え方について、広く理解を得るための取り組みを進めました。

写真:議論の様子

研究会での議論の様子

この取り組みに対する反対意見  

鎌倉地域においてTDM施策を導入することの意義は、公共交通の円滑な走行環境を確保し、その利便性を最大限に向上させることによって来訪者には出発地から公共交通を利用してもらおうとするものです。また、様々な理由により自動車で鎌倉地域を訪れなければならない場合には、幾つかの選択性を与えることであって、その来訪を妨げようとするものではありません。

しかし、平成11年11月の社会実験実施後の平成11年12月市議会に、一部の商業者から社会実験の中止及びロードプライシングの導入に反対する陳情書が提出されました。

陳情の主旨は、社会実験を行うことによって、多くの観光客に「鎌倉へは自動車で入れない」という誤解を与え、かつ、将来的にロードプライシングなるものが導入された場合、鎌倉の商業に大きな影響を及ぼす懸念がある、というものでした。

これまで、20の施策の導入について議論を進めてきた研究会は、常に会議を公開し、積極的に計画の主旨を公表してきており、ロードプライシングについても、この時点では、法的・技術的に課題が多く、近い将来実施に移行することは困難であるとも考えられていたため、前述の陳情書が提出されたことは、正に予想外のことであり、その対応に苦慮することとなりました(結果的に、この陳情は継続審議となり、今後の社会実験の実施が即時に凍結されるという結論には至りませんでした)。

ただ、その一方で、この陳情書の提出が、研究会と商業者が意見交換を行うテーブル作りのきっかけともなり、商工会議所や観光協会、商店街連合会の会員が独自に「鎌倉交通活性化連絡協議会(以下「連絡協議会」という。)」を発足させ、鎌倉地域における交通計画のあり方について、各々の立場から意見を出し合い、議論を進めていくこととなりました。

この後、研究会と連絡協議会は、7回にわたって会議を行い、一定の相互理解が得られていく中で、協働して交通環境の改善に取り組むこととしました。

研究会の発展的解散 

平成8年の市への提言以降、市と協働で取り組みを進めてきた研究会の活動は、鎌倉地域へのTDM施策導入に向け、多大なる成果を積み重ねてきました。しかし、その一方で、「20の施策」の中には、未だ社会実験による評価が行われていないものもあり、更には、取り組みが長期化する中で、社会情勢の変化に伴う新たな課題も発生するに至りました。

そこで研究会は、平成13年9月に、これまでの活動の総括及び今後の取り組み方針を「鎌倉地域の地区交通計画に関する提言・その2(以下「提言2」という。)」としてまとめるとともに、その活動を新たな推進組織へバトンタッチするため、発展的に解散することとし、市はこれを了承しました。

これにより研究会は、6年2ヶ月という活動を終えました。  

研究会に関する資料

倉地域交通計画研究会設置要綱(PDF:6KB)

究会委員役職一覧(平成13年9月28日時点)(PDF:21KB)

鎌倉地域交通計画研究会・部会の開催経緯(PDF:35KB)

取り組みに関する広報PRの経緯(PDF:25KB)

  

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お問い合わせ

所属課室:まちづくり計画部都市計画課交通政策担当

鎌倉市御成町18-10 本庁舎3階

電話番号:0467-61-3658

メール:koutsu@city.kamakura.kanagawa.jp

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