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更新日:2026年5月15日

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【開催レポート】令和7年度鎌倉市共生のまちづくり講座
子どもの「困った!」に気づくと見えてくるもの
ー学校・家庭・地域をつなぎ、育ちを叶えるヒントー

鎌倉市では、共生社会の実現に向け、多様な視点から共生の取組を学び、理解を深めるため「鎌倉市共生のまちづくり講座」を実施しています。

令和7年度は11月14日(金曜日)に『子どもの「困った!」に気づくと見えてくるもの 学校・家庭・地域をつなぎ、育ちを叶えるヒント』をテーマとした講演を行いました。

日時等

開催日時

令和7年11月14日(金曜日)

15時00分~16時45分

開催場所

鎌倉生涯学習センター(きらら鎌倉)大ホール(鎌倉市小町1-10-5)

定員

180名程度

対象者

鎌倉市内に在住・在勤・在学の方

開催レポート

子どもの様々な行動の背景には、実は「困っている気持ち」や「うまく伝えられないサイン」が隠れていることがあります。

今回の講演では、作業療法士であり、放課後等デイサービス「遊びリパーク lino'a(リノア)」を運営する大郷和成さんをお招きし、支援が必要な子どもたちの「育ち」を支えるまなざしと、学校・家庭・地域がつながって支援していくためのヒントをお話しいただきました。

講演の後半では学校現場との連携実践を積み重ねてきた作業療法士の仲間知穂さんにもお話いただきました。

目次

1.開催概要

2.当日の講演内容

3.大郷和成氏のお話から

4.仲間知穂氏のお話から

5.おわりに

 1. 開催概要

令和7年11月14日(金)に、令和7年度「共生のまちづくり講座」として、「子どもの「困った!」に気づくと見えてくるもの」をテーマに研修会を開催しました。

今回は、教職員、市民、支援に関わる方々がともに参加し、子どもの行動の背景をどう捉えるか、また、学校・家庭・地域がそれぞれの立場からどのように子どもの育ちを支えていけるかについて学ぶ機会となりました。

2. 当日の講演内容

研修会では、作業療法士であり「遊びリパーク lino'a(リノア)(藤沢市)」代表の大郷和成氏から、地域の立場から見た子どもの育ちと支援についてお話いただきました。後半では、「こどもセンターゆいまわる(南風原町)」代表の仲間千穂氏から、学校現場での実践をもとに、子どもへの関わり方や連携のあり方についてお話しいただきました。

当日は、子どもの行動だけを切り取って考えるのではなく、その背景に何があるのかを丁寧に見ていくこと、また、子ども本人を変えようとするだけでなく、環境や関わり方を見直すことの大切さが、具体的な事例を通して共有されました。

3. 大郷和成氏のお話から

大郷氏からは、「子どもの行動は、その子だけの問題として見るのではなく、環境との関係の中で捉えることが大切である」とのお話しいただきました。

学校では落ち着かず離席が目立つ子でも、放課後等デイサービスでは好きな活動に長時間集中できることがあるように、同じ子どもでも、場所や人、活動の内容によって力の出方は大きく変わります。だからこそ、目の前の行動だけで判断するのではなく、その子がどのような環境であれば安心して過ごせるのか、力を発揮できるのかを見ていくことが必要です。 行動を見るときには「きっかけ」「行動」「その後に起きること」という流れで捉えることが重要です。

たとえば、「やる気がない」「ぐったりしている」と見える姿も、実は学校で一日がんばったあとの疲れの表れかもしれません。注意が必要なのではなく、静かな場所で休むことが必要な場合もあります。子どもの行動の背景にある疲れや不安、感覚の特性に目を向けることで、必要な支援は大きく変わってきます。

また、「困った子」と見るのではなく、「困っている子」と見ることが支援の出発点です。見方が変わると、大人の関わり方も変わります。「どうにかして直す」のではなく、「どうしたのだろう」「何があればこの子は力を出せるのだろう」と考えるようになると、子どもが本来持っている力が発揮されやすくなります。子どものできないことに注目するのではなく、できることが増えていくように支えることが大切です。

さらに、支援において調整できる「環境」は、音や光、空間といった物理的なものだけではありません。

活動の内容、時間の流れ、大人の関わり方やその場の雰囲気も、すべて子どもに影響を与える環境です。

子どもが「やってみたい」と思える活動を用意すること、否定せず、急かさず、小さな成功を一緒に喜ぶことも、子どもの育ちを支える大切な環境の一つになります。

学校・家庭・地域の役割の違いを理解することも必要です。

学校は、同世代の子どもたちとともに学び合い、社会性を育てる場です。

家庭は、子どもが安心して過ごせる基盤であり、評価されずに受け止めてもらえる場です。

地域や放課後等デイサービスは、学校や家庭とは異なる場所として、疲れを回復したり、挑戦したりする機会を支える役割を持ちます。

それらすべてを一つの場で担うのではなく、それぞれの違いを理解しながら協力し、子どもを同じ目線で見ていくことが大切です。

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4. 仲間知穂氏のお話から

仲間氏からは、「問題解決思考から目標志向へと見方を変えることで、どのように協業が生まれるか」について、学校での実践例をもとにお話しいただきました。

特に、子どもの「困り感」に気づくための見方と、行動の背景を構造的に捉える視点、教室や家庭で実践できる環境を整える支援の工夫、そして、支援者である教員や保護者の「困った!」から学ぶ等身大の試行錯誤のプロセスが、具体的にお示しいただきました。

学校現場で見られる「困った行動」を、ただ解決すべき問題として見るのではなく、その先にある「この子に届けたい教育」を考えることが大切です。

先生が困っているのは、その子に本当は身につけてほしいこと、経験してほしいことがあるからです。だからこそ、「問題をなくす」ことよりも、「この子に何を届けたいのか」という視点に立ち返ることが必要です。目の前の行動だけに目を向けると、本当に大切にしたい育ちや学びを見失ってしまいます。

学校の先生は、一人で多くの子どもを見ながら、さまざまな困りごとに向き合っています。そこでは、発達特性や家庭環境、過去の経験など、すぐには変えられないことが背景にある場合も少なくありません。そのため、「原因を取り除く」ことだけを考えるのではなく、今この場でできる工夫を重ねながら、子どもに必要な教育をどう届けるかを考えることが重要となります。

保護者と学校の話し合いは、どちらか一方だけが難しいのではなく、双方に不安がある中で行われていることが多いです。

先生は、保護者との関係を崩したくないと思いながら言葉を選び、保護者は「迷惑をかけているのではないか」という思いを抱えています。

こうした状況の中で、子ども本人の思いや育ちを中心に置きながら、お互いに安心して話し合える関係をつくることが大切だと伝えました。

子どもへの支援は「今すぐ大きく変える」ことではなく、「今すぐできる小さな工夫」から始められます。

届けたい教育に視点を変えると、関わり方も変わります。その積み重ねが、子どもの将来につながる今をつくっていくことができます。

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5. おわりに

今回の研修会では、子どもの行動を表面だけで見るのではなく、その背景にある困り感や、安心して学ぶための条件に目を向けることの大切さが、具体的な実践を通して共有されました。また、学校・家庭・地域はそれぞれ役割が異なるからこそ、同じ目線で子どもを見ながら支えていくことが大切であることも、あらためて確認されました。

また、講演で示された視点や工夫は、必ずしも「専門職でないとできないこと」ではなく、子どもの困り感に気づくこと、行動の背景を少し立ち止まって考えること、教室や家庭の環境を整えること、そして支援者自身の試行錯誤を共有することは、日々子どもと関わる教員や保護者にもできる実践であり、専門職の知見を参考にしながらも、それを学校や家庭の中で生かしていくことの大切さが、全体を通じて共有されました。

開会にあたり、教育委員会から、「学習者中心の学び」を教育活動の基盤とし、特にインクルーシブ教育の推進に力を入れていることが説明されました。子ども一人ひとりが自分らしく学びに向かうための環境をつくることが「学習者中心の学び」の本質であり、インクルーシブ教育は、特別な場所だけで生まれるものではなく、日々の授業の中の小さな工夫、先生の一言、地域の理解とつながりの中で育っていくものであることが示されました。また、学ぶ速さも、安心できる環境も、心が動くきっかけも一人ひとり違うため、それぞれに合った学びの条件を整えていくことが大切であるとの説明がありました。今回の講演は、その考え方を学校・家庭・地域それぞれの実践に引き寄せて考える機会となりました。

閉会にあたり、健康福祉部から、鎌倉市では平成31年に「鎌倉市共生社会の実現を目指す条例」を制定し、市民一人ひとりがお互いを尊重し合い、支え合い、多様性を認め、自らが望む形で社会と関わり、生涯にわたって安心して自分らしく暮らすことができる共生社会の実現に向けて、さまざまな取組を進めていることをお伝えしました。また、今回の講演は、その一環として、令和元年度より、教育部門と福祉部門が合同で企画・実施しているものであることも紹介しました。

今後も、鎌倉市と鎌倉市教育委員会は、子ども一人ひとりの違いを大切にしながら、学校・家庭・地域をつながり、お互いに支え合うことのできる、共生のまちづくりを進めてまいります。

 

 

 

お問い合わせ

所属課室:健康福祉部福祉政策課地域福祉担当

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