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更新日:2023年11月10日

古都保存法とは

 「古都保存法」、正式には「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法」といい、私たち国民がひとしくその恵沢を享受し、後代の国民に継承されるべき古都における歴史的風土を宅地開発の波から保存しようとするものです。

そのため、古都における歴史的風土を保存するために必要な土地を歴史的風土保存区域として指定し、歴史的風土の保存に関する計画(歴史的風土保存計画)を決定します。その中でも特に重要な地域を歴史的風土保存計画に基づき、歴史的風土特別保存地区として都市計画で決定しています。

歴史的風土保存区域内では、建築物の新築や土地の造成などをする場合は、県知事への届出が必要です。また、歴史的風土特別保存地区では、同様の行為は県知事の許可を受ける必要がありますが、新たな建築物の建築や土地の造成などは許可されません。その場合、土地の利用に著しい支障をきたすこととなるため、その土地を買入れる補償制度があり、買入れの申出があった場合には県が買入れることとしています。

古都保存法の生い立ち

鎌倉は自然環境のよさに加え、歴史都市としての知名度の高さから、昭和35年頃より、「昭和の鎌倉攻め」といわれる宅地造成が始まりました。

鎌倉地区の周辺である七里ガ浜地区、円覚寺裏山の明月谷背部など、これだけで112ha3,000区画の宅地が貴重な緑の代償として生まれました。

やがてブルドーザーは、古都鎌倉の聖域ともいえる鶴岡八幡宮の裏山にまで迫りました。鎌倉の都市構造の要でもある八幡宮裏山の破壊は、鎌倉の破壊にも通じ るものであり、特に、この地域、八幡宮の西の谷「御谷(おやつ)」は、八幡宮供僧二十五坊があった遺跡で、風致上、歴史上、また植物学上からみても最も重 要な史跡となっています。

この開発を懸念してわき上がった反対運動(御谷騒動) では、一般市民、学者、僧侶までがブルドーザーの前に立ちはだかり、わずか一週間で2万を超える署名を集めて県市に陳情をおこない、さらに募金運動へと広 がっていきました。そして、昭和39年1月から12月までの1年間にわたる根強い話し合いの末、開発をしても予定の利益を得られない条件付の宅造許可が下 り、事業者の開発断念と、(財)鎌倉風致保存会の残地買収をもって反対運動は終わりました。

一方、京都では双ヶ岡の開発問題、奈良では若草山の観光道路、三笠山のビル問題などが時を同じくして起こり、乱開発から古都を守ろうとする動きが高まり、 関連各市それぞれ古都保存の団体が組織され、活発な運動を展開しました。

古都における環境の保全については、従来から文化財保護法、自然公園法などに基づく各種の施策が講じられていましたが、これらの法律をもってしても到底古 都を開発から守ることはできないという認識から、古都3市を中心とする「古都保存連絡協議会」が結成され、古都における歴史的風土の保存を目 的とする総合的な施策として、特別の立法措置を講じるよう、国に対し要望しました。

これらの運動に連呼して、昭和41年、関係都市選出の国会議員を中心として、超党派の議員立法として「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法(古都保存法)」が制定されました。

この法律は、その立案者が「立法過程を通じて見られたこのような世論の動きは、この法律を世論立法というにふさわしいもの」であると述べたように、鎌倉そ して京都などの市民運動とそれによって起きた世論を結集した、まさに歴史的な意義を持つものといえるでしょう。

現在の御谷の写真

古都保存法発祥の地「御谷」

当時の御谷の写真

当時の「御谷」

いざ鎌倉御谷騒動回想記の写真

当時の運動を記した「いざ鎌倉御谷騒動回想記」

天野久彌さん(故人)著

(財)鎌倉風致保存会で販売しています。

 

開発中の今泉台と現在の今泉台の写真

土地の買入れ

県は、歴史的風土特別保存地区内の土地で歴史的風土の保存上必要があると認めるものについて、土地の所有者から行為の許可を受けることができないため、その 土地の利用に著しい支障をきたしたとして、その土地を買入れる旨の申出があった場合、その土地を時価で買入れるものとされています。

また国は、県の土地の買入れに必要な費用の一部を負担することとしています。

神奈川県における土地買入れ面積・費用(平成31年3月31日現在)

買取件数

買取面積(ヘクタール)

金額(億円)

552

約198.3

約203

(財)鎌倉風致保存会

昭和39年に、鶴岡八幡宮の裏山「御谷」が開発されようとしたとき、御谷の自然を守ろうとの気運の高まりの中で、鎌倉市(当時・故山本正一市長)は作家の大 佛次郎さん(故人)ら市内在住の主だった人々を中心としてその年の12月に設立させました。 この運動がきっかけとなり、「古都保存法」が制定され、御谷山林1.5haの買収に成功したことにより、日本のナショナルトラスト(産業革命による環境破 壊に反対する自然保護運動を契機に作られた民営団体で、自然保護や歴史的・文化的遺産の保存を目的としています。)第1号といわれています。

その後、笹目緑地、十二所果樹園の買収など、自然環境の保存事業に取り組んでいます。

大正期の洋館の活用保全方法として、旧安保小児科医院の建物(鎌倉市景観重要建築物等指定第16号)を事務所とし、一般公開を行っていましたが、現在は扇ガ谷の歴史的風土保存区域内の土地と建物を取得し、事務所として使用しながら、将来の一般公開を目指して庭園の整備を進めています。

また、鎌倉の由緒ある建物の保存として、大佛次郎さんの茶亭を、ご遺族の協力を得て保存建築物に指定し、その助成や一般公開を行っています。

文化活動として、寺社見学会、藍染教室なども開催しています。

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(財)鎌倉風致保存会事務所

大佛茶亭の写真

大佛茶亭 (写真提供:(財) 鎌倉風致保存会 )

“古都保存法”ってなんだろう(小学生向け冊子)

お問い合わせ

所属課室:都市景観部都市景観課風致担当

鎌倉市御成町18-10 本庁舎3階

メール:keikan@city.kamakura.kanagawa.jp

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